経営ノウハウ(4)
(136)『組織に活力を与える12ステップ』
ステップ1 |
存在価値の再確認 わが社がなくなれば誰がどのように困るのか。この1点を常に明らかにする姿勢が方針策定のスタートになる。 |
ステップ2 |
ビジョンの設定 あるべき姿を具体化する。企業経営は厳しいマラソン競争であるが、ゴールのないマラソン競争が存在しないのと同様、目的なき経営があってはならない。 |
ステップ3 |
先見する 過剰と不足、主役交代などの変化・進化の潮流を正しく認識する。 |
ステップ4 |
現実の直視 顧客は変化、進化する以上、企業価値と顧客価値には常にギャップが生まれる。この事実から経営者は逃げてはいけない。 |
ステップ5 |
目標の設定 設定目標は2つ。1つは中長期的な到達目標。そしてもう1つは短期的な勝てる目標の設定である。中長期ビジョンの実現には、勝てる組織が必要でなる。それは勝ちグセから生まれる。なぜなら勝つことにより強くなるからである。 |
ステップ6 |
戦略の策定 どのポジションでNO.1となるかを明確にする。そのために「やらないことを決める」ことが欠かせない。これが戦略である。 |
ステップ7 |
組織化を行う 組織は戦略に従う。誰がやるかを明らかにする。 |
ステップ8 |
年度経営方針の策定 上記7つのステップを踏まずして策定した経営方針で、1年間組織が戦うことは難しい。 |
ステップ9 |
実行具体策の策定 具体的ステップと6W3Hは欠かせない。この際、大切なのは『プラン2』の準備である。これから実施する具体策を『プラン1』とすれば、それで達成できない場合の策。それが『プラン2』である。 |
ステップ10 |
方針管理の実施 少なくとも四半期に一度は方針管理を実施し、進捗状況を正しくチェックしなければならない。 |
ステップ11 |
修正と実行 目標未達の場合は、直ちに『プラン2』を実行に移さなければならない。 方針書は作品ではなく、目的達成の手段である。 |
ステップ12 |
信賞必罰 |
★構造転換期において、正しく方針を策定・運用する企業が「勝ち組」となるのだと認識したいものである。
(137)『"原因"と"手段"でピントを合わせよう!』
★部門方針、個人取り組み事項を作成する際の注意点を紹介したい。
(138)『業績を正しく生み出そう』
そこで幹部全員と面談し、改革の火種となりえる人を探した。また危機感を共有してもらうために、業績数値を幹部以上にオープンにして、現状を詳しく説明した。現状を全く知らなかった幹部にとって非常にショックなことであり、当然のことながら青ざめていた。
収支バランスを取るために、人員削減を含む固定費削減を進める一方で、黒字にするためにはいくら売上が必要なのかを明確にした。幹部メンバーを筆頭に、目標売上数字に対して差額がどれだけあるのかを毎日徹底的に意識させ、その差額を埋めるために何をしなければならないのかを考え行動させた。
3ヵ月後、営業努力の甲斐もあって、単月黒字が32ヵ月ぶりに達成できた。単月黒字を発表した時には大きな歓声があがった。まさしく社内全体が同じ方向を向いて、目標に対して真摯に取り組む姿であり、バラバラだった組織がひとつになった瞬間である。全社員が笑顔になり、社内の空気が3ヵ月前と180度変わっていた。
(139)『"経営のバックボーン"に歪みはないか』
- ・「毎年内容があまり変わらない」
- ・「経営計画書は年に数度しか見ない」
- ・「実行したかどうかの評価をしていない」
- ・「そもそも具体的に何をするかが明確となっておらず、評価できない」
- ★トップの考えを、幹部を通して、社員全員の協力(日常活動)により実現させること。その設計図を個人の行動計画まで落とし込まなければならない。
組織の設計図
○経営理念(存在目的、使命は何か)○ビジョン(夢、目指すべき姿は何か)
○戦略(勝てる場の発見と勝つための条件づくり、競争優位の確立)
○目標(中期経営計画の作成)
○組織(戦略を実行する体制づくり)
○年度計画(全社方針を部門方針⇒個人目標へと落とし込む)
○実行と成果(PDCAにより計画を確実に実行)
○評価・分配(行動・スキル・成果を評価、給与は高く人件費は低く)
(140)『チェンジリーダーの条件(その1)』
ピンチをチャンスに変えることのできるリーダーを「チェンジリーダー」と名付けている。
通常、ピンチに遭遇したときにどのような対応をはかるかで、次の4タイプのリーダー像に分類できる。
1.PO(ピンチ・アウト)型 |
想定を超えるピンチ状況を迎えると、たちまち悪い結果を引き起こすタイプ。 リスクやクライシスへの感度が鈍く、修羅場体験も少なく、性格的にも弱い。 経営面では一極集中のスタイルが多い。つまり、得意先、商品、人材、立地、方法などが特定の部分に集中したままになっているケースだ。 |
2.PP(ピンチ・ピンチ)型 |
何とかしなければ危うい」と気付きながら、抜本対策が打てずに手をこまねいたまま、ジリ貧状態を招く優柔不断なタイプ。「ピンチだ。変えなければ」と口にするが、有効な実行具体策が出せない。 社歴の長い経営で、財務面での余裕があるケースに多く見られる。 |
3.PW(ピンチ・ダブルピンチ)型 | 行動力はすばらしく率先垂範で「良いと思えること」を矢継ぎ早に実行する現状認識力(問題の本質をつかむ力)が不足しており、成果につながらず、傷口を大きくしてしまうタイプ。行動優先の良き社風だが、構想力に欠け、右往左往する経営となる。 |
4.PC(ピンチ・チャンス)型 |
結果のみを求めすぎることなく、問題の本質を「原因→プロセス→結果」の流れでキチンと急所を押さえることができる。バランス感覚(大局観)と柔軟な発想力、さらに先見力を持ち、早めの対策を整然と打てるタイプ。 これが「チェンジリーダー」であり、ピンチをきっかけに組織のバージョンアップを成し遂げる経営を行う。 |
(141)『チェンジリーダーの条件(その2)』
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攻め7割、守り3割。ゼロベース発想で挑む。そのために、 (1)「自分がやる」という覚悟をして退路を絶つ (2)リーダーとしての目的と使命をハッキリさせる (3)「ピンチはチャンス」というプラス発想で臨む |
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前例にとらわれず、活かすべき長所・特徴を明らかにし、柔軟にアイデアを発揮する。そのために、 (1)3つの目を持つ(鳥・虫・魚の目~大局観・分析眼・変化眼~) (2)実行優先でやってみる(60点主義に立ち、走りながら修正していく) (3)他人の知恵、異分野に学ぶ(素直さを持ち、絆を大切にする) |
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リーダーはいかなる時もメンバーを元気にする人。そのために、 (1)常に明るく元気な声・表情・態度を堅持する (2)言葉選びに注意(本質を短く表わす) (3)快食・快動・快心・快眠~一日決算主義~ |
(142)『リーダーの"仮説力"』
★QCストーリーや問題解決のために、「仮説の設定」という重要なステップがある。
⇒ 2.統計的データにもとづく問題点の実態分析
⇒ 3.問題の真因分析("なぜ"の5乗)
⇒ 4.あるべき姿の設定(問題点に対する正しい認識)
⇒ 5.仮説の設定(改善案・衆知の提言)
⇒ 6.メリットとデメリットの想定(検証)
⇒ 7.デメリットの対応策の検討(2次対策)
⇒ 8.改善実行プランの作成(ツール・スケジュール)
⇒ 9.実行推進(検証)
⇒10.歯止め策の策定
- ★再発に歯止めがかからない不良・クレーム対策に対する仮説、集客ができず業績が上がらない要因に対する仮説、いつも目標にあと一歩で達成できない要因に対する仮説。
- ★私たちの回りには常に「問題」と「要因(真因)」とそれに対する「仮説」が無限に存在する。
(143)『経営意識の高い幹部になろう』
1.トップと方向感覚を合わせる | トップならどう考え、どう判断するのか。なぜトップはそう考え判断したのか、掘り下げて考える習慣をつける。 |
2.ワンランク上の仕事をする | ワンランク上の仕事をするためには、自分の仕事を部下に任せないとオーバーワークとなってしまう。ワンランク上の仕事が出来ない幹部の共通点は、自分で仕事を抱え込んでしまうことである。 |
3.戦略発想を鍛える | トップとベクトルを合わせ、重点を絞り込み、やるべき事を明確にする。NOW(今の責任を果しながら)・NEXT(次の手を打ち)・NEW(将来を考える)が大切である。 |
4.バランス感覚を養う |
経営バランスが崩れると破綻してしまう。そうかと言って、バランスをとったままでは成長できない。あえてバランスを崩し、いかに大きくバランスさせるか。その復元力が大切である。 ○攻めと守り(売上と利益、利益と経費、資産と負債資本のバランス) ○環境変化(市場・需要・ライバル動向と自社のバランス) ○時間(将来ビジョンと現実のバランス) ○経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報の効率的なバランス) |
(144)『日本人は"団体戦"で力を発揮する』
東日本大震災は、経済環境をこれまでとは違った別のステージに変化させた。被災地に国をはじめとした行政の復興支援策が実施されている。
ここで経営者や幹部社員は「以前の経済環境には決して戻らない」と気づく必要がある。経営は環境適応業であり、どのような経済環境にも適応 していく自助努力が不可欠である。その施策の一つとして筆者が提唱するのは"個人戦から団体戦へのシフト"。推進ポイントは次の3点である。
1.目的・目標を共有する |
日本人は個人としては弱いが、団体を組むと大きな力を発揮する特性がある。これは目的・目標を共有し、それに対して個々人が協力し合うからである。企業においては経営理念や企業ミッションが目的・目標の最上位概念であり、改めてそれらを全社員に徹底していくことである。 ただ、経営理念や企業ミッションはとかく漠然としがちであるため、経営者や幹部社員はそれを咀嚼して部下に発信し続け、「目的・目標を達成していくために、今、何が求められているか」を日常業務に落し込んでいくことが求められる。 |
|
「一人ひとりはチーム(団体)のために頑張り、チーム(団体)は一人ひとりが成果を出せるように皆でサポートしていこう」という意味(ラグビー競技のスピリッツとして有名)である。 つまり「個人によって得意不得意はあっても、一つの目標に向かってそれぞれが得意な面で力を発揮しつつ、不得意な部分は互いにカバーし合って目標を達成していこう」という思いをチーム内に植付かせる。 |
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団体を構成する個々人がレベルアップするための仕掛けづくりに常に留意すること。特に次の5点が大切だ。
|
(145)『心の在り方を変えよう』
自分と結果のベクトルは、常に、「自分⇒結果」なのです。
結果を変えたければ、まずは自分が変わらなければならないということです。
そして、行動が変われば、人生が変化するのです。
心の在り方が正しければ、必ず成功を収めることができるのです!
(146)『継続的改善の視点』
| 不確実性の高い事業環境において、何より優先すべきは顧客ニーズに対する誠実な配慮であり、そうしたニーズに応えられる柔軟性を、組織がどの程度備えているかを見極めることが重要である。 |
|
継続的改善には、時代環境に適応するためのイノベーション(技術革新)が必要となる。 イノベーションを引き起こすツールとして、「方針」は大変有用である。 ●花王の「商品開発5原則」 (1)社会的有用性の原則 (2)創造性の原則 (3)パフォーマンス・バイ・コストの原則 (4)調査徹底の原則 (5)流通適合性の原則 |
| 継続的改善には、人材の実行力が欠かせない。この実行力とは、経営者・管理職を問わない必須科目である。実行力に必要なのは、リーダー自身が組織に情熱を持って深く関与することだ。この"関与する"とは、建設的で一貫した質問を投げ続け、問題の核心をつかむことを言う。 |
(147)『プロジェクト成功の秘訣』
そこで、プロジェクトを成功させている組織に共通する姿勢と取り組みを、以下に列挙する。参考にされたい。
2.プロジェクトの具体的目的・目標の設定
3.プロジェクトリーダーの権限の明確化
4.メンバーのプロジェクトへの専業体制
5.通常の評価制度とは一線を画したプロジェクトメンバーへの評価基準の設定
6.プロジェクト終了後のメンバーへのキャリア保証
(148)『目標必達の為の業績先行管理』
遅行管理×
| ・・・ |
前月の結果を見て何が良かった、悪かったと議論する。 終わったことをいくら言っても手が打てない。 |
同時管理×
| ・・・ | 今月の売上げ状況を確認しても、すでに残り少なくなった時点で「当月の対策・・・」と言ったところで、打てる手など限られてしまう。 |
先行管理○
| ・・・ | 先行で3~6ヶ月先までの累積目標から、現在確定している売上げを差し引いた類型差額に対して対策を打つ。 |
あるシューズ卸会社は、かつては月次決算を行うも翌月の15日過ぎにやっと数字がまとまるという遅行管理で、気付けば売上げ未達の月が年間の大半を占めるといったジリ貧業績体質であった。 この体質を改善するために先行管理を導入したものの、初めから8カ月の先行管理ができたわけではない。ステップを踏んで1年半がかりで導入した。
まずは当月と翌月の2カ月間の累計差額対策から取り組み、3カ月→6カ月→8カ月と期間を延ばしていった。そして8カ月先行管理が定着してきた約2年後、毎月の売上げが目標の105~120%の割合でクリアできる強い体質に生まれ変わった。もう売上げ未達の月はなくなっていた。
(149)『前向きな姿勢を持て!』
(150)『"当たり前のことができる組織"づくり』
(151)『経営者は原点を語れ』
清廉活発な企業風土を基盤に成長し続け、これをもって業界全体の発展に寄与する。
そのために
1.礼儀・礼節を重んずる
2.方針・目標・通達は即、実践
3.決定事項が不本意であっても全力投球
4.出来ない理由を考える前に出来る方策を考え、打ち出す
5.結果に対して責任を持ち、愚痴・言い訳はしない
(152)『リーダーの命がけ』
★リーダーが具体的に取り組む「3つの命」★
1.使命 |
|
2.宿命 |
|
3.革命 |
|
「変化はチャンス」。理性的かつ情熱的な実践が成否を決めると言えよう。
(153)『社風は気付いたら"できている"』
先日、実施した営業研修での事例を紹介したい。
事前のヒアリングで確認した問題点は、「営業社員に自社のカラーがない」ことだった。
つまり中途採用者が多く、前職の営業スタイルを引きずっていることが原因と思われた。
問題の営業社員も、目標への達成意欲より会社の指示事項をこなしたという"アリバイづくり"が優先され、その結果、慣れた前職の営業スタイルをだれも変えようとはしなかった。これが冒頭の真因であった。
(154)『全社を挙げての意識改革』
与える側と与えられる側、命令する側と命令される側、実行させる側と実行させられる側である。
そのため人を動かす場合、どうしてもカネやポスト、命令といったトップダウン型のマネジメントが中心になってしまう。その結果、組織内には「やらされ意識」を持った指示待ち人間が多くなる。
そのためにも変化の現場に近い社員が、自分で考え、判断し、俊敏に行動することが不可欠である。指示待ちの受身組織では変化に対応できない。
冒頭で紹介したA社で、参画型経営に向けて取り組んだことは次の3点であった。
2.経営情報の発信と共有化(ガラス張り経営)
3.意思決定プロセスの整備(会議システムの整備)
(155)『コストダウンが進まない理由』
- ○努力しても大きく評価されない
- ○前年同様の取り組みを継続するだけで、調達のトラブルを恐れ新たなチャレンジをしていない
- ○「何を、どれくらい、いくらで、どこから、どういう条件と方法で、どの位の頻度で購入しているのか?」など情報が各部門間に分散し、調達の全体像を一元的に把握することができない
- ○同じモノを複数部署で購入していたり、同一業者との取引を複数の担当窓口が行い、外部調達の全体像を把握することが困難となっている
- ○調達(支払い)部門と利用部門が異なり、当事者意識が徹底されていない
- ○業者の市場構造・市場価格に関する情報が、組織的に収集・蓄積されていないため、価格の妥当性に関する判断がなされていない
- ○業者との交渉ノウハウがなく、業者にとって都合の良い価格や契約を鵜呑みにしている
★常に自社の現場がどのような状況にあるかを把握し、適切な対応を図っていく必要がある。
(156)『経営者の時間管理術』
価値判断基準は、冒頭の「すべてのステークホルダーの幸せを最大限求め続ける」ということから考えるべきだ。会社が成長し、存続していくために、なすべきことを最優先事項に据えなければならない。そして「攻め」と「守り」の仕事を均等に時間配分する必要がある。
会社の規模が大きくなればなるほど、経営者の意思決定の仕事は増えてくる。
仕事を任せられる幹部社員を育てることは、経営者の任務でもある。
(157)『基本と成長の4C』
各社はいろいろな業務革新 に取り組んでいるが、トップの意思の中心は自社の業務改善であり、顧客視点での業務革新に至っていない事例が多く見受けられる。
流通業を例に業務革新2つの視点 | |
1.基本条件からの視点:基本の4C 中堅マネジメント層が取り組むべき 重点課題 |
(流通業界で戦う中、有無を言わさず備えていなければならない条件)
|
2.成長条件からの視点:成長の4C 「成長の4C」はトップマネジメント層 が取り組むべき重点課題 |
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