経営ノウハウ(2)

(47)業績先行システム

近年、「業績先行管理システム」導入の支援協力に携わることが増えてきた。先行管理とは、正確に先を読み、早く手を打つことである。先行管理の考えが定着した企業は強い。業種により異なるが、3カ月、6カ月、12カ月先の目標に対する差額を明確にすることで、ライバルより先に対策を打つことができるからである。

成功させるには、次の2点が大事
(1)継続は力なり
先行管理を導入しても、その効果はすぐに現れるわけではない。根気よく続けることが大切である。「1年目は何も考えずに、とにかく真剣に取り組んでみて下さい。2年目には先行管理の良さを分かっていただけるはずです。3年目になれば先行管理の素晴らしさを実感でき、4年もすれば先行管理の考え方が定着・習慣化します。『業績が悪いから、わが社でもやってみようか』という軽 い気持ちでは、導入してもムダに終わります。」
(2)「鬼」の存在
導入当初は、営業社員から「明日の数字も読めないのに、3カ月先なんて分かるわけないですよ」という声が上がり、真剣に取り組む姿勢が見られなかった。
しかし、A社には先行管理に明るいB営業部長という人がいた。B営業部長の強力なリーダーシップの下、フォロー・チェックの徹底により、今では先行管理が機能し始め、「目標は達成すべき数字」という意識が社員のなかに芽生え始めている。

先行管理の定着化は、ライバルより一歩先んじて行動するスピードを加速させる「強力な燃料」となり得るだろう。

 

(48)業績革新の着眼点『費用と投資』

業績をつくるための原則は。固定費を上回る限界利益を生み出すことで企業の業績はつくられる。すなわち、如何にして「固定費=費用をコントロールできるか」ということになる。

成長のカギはさまざまあるが、なかでも「費用と投資」の明確な使い分けが重要なカギではないだろうか。

2つのバランスが大切
・今の業績をつくる費用
・将来の業績をつくり上げるであろう投資
 

今だけでもいけない今の延長線上に未来がある。

今の業績をつくっている源泉は一体どこにあるのか、そして未来の利益をもたらせてくれる源泉をどうつくり上げるか、この2つの視点で現状の経営資源を見ていただきたい。

 

(49)利益率アップ事例『売る用途編』

攻めの手段である"商品の用途変更"によって、限界利益を向上させた企業事例を紹介します。

<事例>
包装資材メーカーのT社は2年間で限界利益率を約17%アップさせた。では、T社はその2年で何をしたのだろうか。主な実施策は以下 の3点である。
1.モノ売りではなく、機能を売ることに徹底追求
T社は、従来の販売ルートである食品・菓子メーカーのうち、「箱詰め作業」に人手をかけている中堅・中小企業クラスに注目した。そこで徹底したマーケティングを行い、既存製品である紙箱を改良し、「組みやすく、元へ戻しやすい箱」として製品化した。
また、通常なら購買責任者に提案するところを、顧客の経営トップに対して営業活動を展開し、「アルバイト人件費の削減効果」を訴求ポイントに採用提案を実施した結果、多くの企業で採用されたのである。"紙"という機能特性を最大限にPRした結果である。
2.従来の常識を変えた
T社は次に、最終消費者へ目を向けた。通常、紙箱は製品を「包む」ものであるが、T社はそうした従来の紙箱の"常識"を覆し、「包む」から「その場で使用する」へと用途を変えたのである。具体的に言うと、保冷機能を持たせて飲料品などを持ち運べるようにした。
さらに、中身の飲料品を取り出した後に、イスや小さなテーブル代わりに使えるように改良したことで、消費者の支持を得た。「包む」から『使用する』への発想の転換が生んだ成功と言える。
3.紙でないものを紙化(100%紙製を提案)
T社が次に提案したのは、通常はプラスチックやアルミ、鉄などで作られる製品を、紙で製作することを提案したのである。具体的な事例としては、紙の机やイスなどの家具製品や、金具を一切使わない扇子などが挙げられる。

 

★「用途を売る」には3つの商品用途を開拓すること★

レベルアップ
・機能の追加と変更
・業界常識の打破
・市場なきものへの挑戦

 

劇的な利益改善の可能性を秘める「用途開拓」に、いま一度着目していただきたい。

 

(50)限度主義の経営

戦後60年を経て、日本企業の大多数が事業承継期に突入している。


創業者から2代目への承継で"失敗"する中小企業が少なくない。

原因
創業者は・・・ ○カリスマ性
○会社の隅々まで理解
○経営のポイントを肌感覚で理解している
○ゼロから会社を立ち上げた経験と判断力がある
二代目は・・・ ○育った環境も過程も違う
○創業者と同じように経営をしようとするのは難しい
対策
企業を存続させる上で、重要なこと
組織経営であり、経営指標を用いた「限度主義の経営」を行うこと。
限度基準を設け、経営に反映させることがリスク回避のカギとなる。

限度主義のポイント
(1)人件費の限度
人員について基準を持たないため、売上げが伸びると安易に人員を増やし、業績が低迷すると人減らしに苦悩する企業をよく見る。売上高と限界利益のバランスで人件費をとらえていないからである。人員については次のような限度基準を設ける必要がある。
  • ●労働分配率(人件費/限界利益)の限度基準を設定し、その基準内で人件費をコントロールしていく。
  • ●人件費増加率<売上高増加率<限界利益増加率<経常利益増加率<自己資本増加率という序列を守っていく。
(2)予算制度と予算統制
経費削減は利益に直結する。経費は目的でなく「手段」であるが、基準を設けなければ、気が付いた時にはムダな経費だらけになってしまう。
経営は限られた経費やコストで成果を上げることが重要であり、経費とコストの勘定科目を総点検して限度を設ける必要がある。そのため、限度主義に立った予算制度と予算統制を実施することがポイントになる。
(3)投資限度
特に装置産業の経営においては、投資効率が重要となってくる。投資の失敗が企業の存続に大きな影響を及ぼすため、慎重な投資判断が求められる。その判断基準としては、次のような限度基準を用いるのが良い。
  • ●借入限度の設定......借入金依存率や月商倍率を超える投資はしない。
    例:借入金依存度(借入金/総資産)は30%以下、月商倍率3カ月以下
  • ●3期連続赤字の事業は撤退する
  • ●設備投資は減価償却費と経常利益の範囲内で行う。

 

(51)3つのマークを確認しよう

今の仕事のやり方を改善し、イキイキとした職業生活を送るために、自分自身の頭上に"3つのマーク"が付いているかを常に確認してみよう。
そのマークとは「?」「×」「!」の3つである。

1.「?」(疑問の精神)
「おや?」「おかしいな?」と気付く問題意識を持っていること。それが有効な問題発見につながるためには、しっかりとした目的意識に立脚することが前提となる。「健康でさわやかに、お役に立ちながら長生きする」という人生目的や企業目的を明快に掲げていると、それを阻害するものとして「問題」が直ちにクローズアップしてくる。
2.「×」(現状否定の精神)
今やっている方法や選んでいる方向が必ずしもベストではない。よりベター、ベストなものを目指して果敢に現状を否定すること。従来から行っていて、習慣になっているものの中にこそ、思い切った革新を必要とするものがある。時代が変わり、技術革新、ニーズ変化が起きる中、それに新たなる対応を図ること。
3.「!」(感動の精神)
予定や期待を上回る成果や出来事に人間は感動を覚える。「?」「×」で仕事の革新をすすめながら、この「!」をどれだけ多く付けることが出来るかが、生きがい、働きがいを決める。義務・責任感だけではなく、能力開発、使命感、成就感を伴う仕事だ。

 

(52)コミュニケーションの格差=業績格差である。

質の高いコミュニケーションとは
答えのない「問い」に対しても。両者が選択できる方策を形づくっていけることだ。
その際に有効なのは、「そもそも、その主張は、どのような問いに対してなされたものか」を考えることである。
「どのように手を打つか」という具体的に物事をとらえる視点を、「なぜそう思うか」という抽象的な視点に移行させることは、物事の本質にもう一度着目させることになる。
相手の主張を認めながらも、コミュニケーションの生産性が感じられずに共感が生まれない状況はよくあることだ。その中でもコミュニケーションの質を高めていくためには、そもそもの論点を意識することが非常に有効な手段である。
答えのない「問い」に対して、その時々でベストな回答を行うことも今のビジネスでは求められる。そのためにも、多くの情報をさまざまな角度から練り上げる「質の高いコミュニケーション」が、ますます重要となってこよう。

 

(53)業績革新の着眼点『筋肉質なチームを作る』

経営者は、業績が悪い理由を「環境」や「部下」の責任にしてはならない。

勝敗は、リーダーの采配によって決まると言っても過言ではない。

では、リーダーはチームの勝利を手にするために、どのように采配を振るっていけば良いのだろうか。その着眼点は次の通りである。


1.リーダー自身の習慣を変えよ

  • ●人は従来の延長線上で考え、行動することが多分にある。これは会社の体質・社風・風土なども同様である。リーダー自身の考えや行動を変えなければ、会社は変わらない。
  • ●リーダーは場当たり的な対応策ばかりを打たずに、まず自分自身をよく見つめ直し、習慣を変える努力をすることだ。

2.自社の常識は顧客にとって「非常識」という考えを植え付けよ

  • ●強いチームは、何事も顧客思考で考え、行動する習慣が身に付いている。顧客が何を求めているかを常に考える習慣を身に付ける。
  • ●行き当たりばったりの考えや行動では、顧客から満足されないのは当然である。顧客第一主義の徹底を図るには、すべての判断基準を顧客に置き、顧客にとって良いか悪いかの判断を常に繰り返すことで、顧客志向の習慣が身に付いてくる。

あえて難しいことから始めるのではなく、日常業務のなかから培っていけることを徹底し、実践に移すことで筋肉質なチームができあがってくる。

 

(54)経営者・幹部必見『形骸化した会議では企業成長はない』

「ただ開催しただけで、決定事項も何もない」という形骸化した会議
企業の成長はない
 
参加者全員が本当の意味で参加、検討できる会議に生まれ変わるには

1.会議資料は事前配布
各部門の持ち時間を10分とし、そのうち報告時間は2分のみである。
前月の反省点から今月実施することを報告する。参加した各メンバー全員から意見やアドバイスを受ける。
会議資料は事前に配布し、会議前に報告書を熟読してもらう。これにより各部門の成功事例や失敗事例が共有化でき、他部門との連携も強化される。
2.改善提案を会議に取り入れる
全社員に毎月、業務改善の提案を出してもらう。各部門会議で、「どの提案事項を経営会議に提出するか」を検討する。部門内の活性化につながり、常に改善することを考える風土ができる。
経営会議では各部門の提案事項から、
  • (1)顧客満足向上
  • (2)業務効率化・コストダウン
  • (3)社員満足
という3つのカテゴリーで、お客さま・会社・社員がより進化できるものを決定する。最優秀案は社内発表し、提案者本人はそれを誇りに思い、新たな提案へのモチベーションにつながっていく。社員から提出された提案事項は幹部陣が全て確認し、10日以内に返答する事が一番重要。

 

(55)業績革新の着眼点『クレームをチャンスに変える』

クレーム件数の集計はされているが、「記録」が目的となっており、クレームが分析や改善に活かされていないケースが多い。

クレームは「企業の宝」

企業の体質強化を図ることができる。

お客さまからのクレームは、企業が見落としていた製品の弱点をユーザーや消費者の立場から教えてもらい、より良い製品作りのチャンスを与えられることだと言える。

クレーム処理の際のポイント
1.件数カウント基準
発生件数を基準にカウントするのではなく、発生率と損害金額を比較基準にする。
2.原因の深堀り
作業者自身に不良発生の原因について、「『なぜ』5回繰り返し」と「6W3H」で考えさせる。
3.お客さまの納得を得られる有効な改善策の実施
改善策を検討する際、その内容がお客さまの納得を得られるレベルかどうかの視点で検討し、作業者が無理なく継続的に実施できる内容とする。

 

(56)業務改善の着眼点『気づきの大切さ』

常識が足りない」社員の改善には
「挨拶の重要性」から常識教育を教え込む。
できるまで徹底的に注意することが不可欠である。

 

「気づきの足りない」社員の改善には
「お客さまの大切さ」について、納得するまで教育することから始める。
「お客さま」という人は、こうしたことを嫌がる人だと"暗記"させるのである。

 

お客様の周囲を注意深く観察させる。
誰よりも早く気づき、誰よりも早く対応させる。
お客さまは感動する。

 

喜ぶお客さまを見て、自分自身も良い気持ちになることに気づく
ようやくお客さまに対する気づきの大切さを理解できる。

 

(57)経営者・幹部必見『あなたの会社の羅針盤は?』

『業績資料』が会社の羅針盤になるには

いくら資料を取り揃えても、肝心な業績が一目で分かるようになっていなければ意味がない。大切なことは情報の量や速さではなく、見せ方である。
例えば、年商90億円の化学薬品メーカーB社は、自社のコスト構造を
 ●総資本経常利益率
  ⇒売上高経常利益率・総資本回転率
  ⇒固定費・限界利益率
に分解して、コントロールしている。各部門においてはキーとなる指標を設定し(例:営業における1人当たり粗利益高)、現場で分かる指標に落とし込んで生産性指標として管理している。
この時、注意しなければならないのは、現場指標が上がれば、必ず会社全体の損益が変わる状態に設定することである。
年商40億円の住宅メーカーC社では、1枚のシートを見れば自社の経営状態が分かるように工夫している。中身についても、数字を単純に並べるだけでなく、できるだけグラフ化して直感的に理解できる状態にしている。

"経営の羅針盤"として舵取りができるように、常に分かりやすく、判断できる状態にしておく必要がある。自社の状態を聞かれた時、即座に答えられる環境をつくることが、業績改善への第一歩となります。

 

(58)『企業の背骨はしっかりしているか』

効率的に経営をしていく基礎であり、経営体質強化に必要不可欠な条件とは

①経営理念
②行動指針
③長期ビジョン
④中期経営計画
⑤年度方針
⑥年度予算
背骨がきちんと定められていることが大事

企業全体のベクトルの方向性を一致させること

経営理念→中期計画→年度方針→達成していくための仕事→行動・実績が評価され、給料が決まる

経営理念に基づいて、予算や評価・分配にまで一貫した思想で貫かれていて、一般社員にまでよく理解されていればいるほど、この善循環システムはうまく機能する。

 

(59)『魅力ある会社づくり』

優秀な人材を確保し、今後、自社の成長につながるような人材基盤を固めるにあたって、まずこれらのポイントが自社に備わっているか、見直してみよう!

1.経営者自身に魅力がある 経営者の魅力は何かと言えば、「若さ」「夢」「情熱」である。ここでいう若さは暦年齢ではなく、精神年齢である。目はキラキラと輝き、発言する言葉からは夢や情熱がほとばしるような人である。中小企業は社長自ら応募者に夢を語り、共に夢の実現に向かって働きたい人たちを採用することだ。
2.会社に将来性がある 現状は増収増益であっても、これは過去に打った手の結果である。将来に対しての先行開発投資(人材・商品・事業)を、どの程度行っているかで将来性は決まる。常に成長している会社は、売上げに対して5%~10%の先行開発投資をしている。
3.労働条件が整備されている 「水は低きに流れ、人は高きに流れる」と言われるように、優秀な人材を採用するためには、業界・地域・規模別に労働条件を比較、検討して給与・賞与・休日などの整備をすることである。
4.経営に参画できる 創業期の経営はトップダウン型・ワンマン経営が多いが、2代目、3代目の経営スタイルはミドルアップ型やボトムアップ型の方がうまく経営できる。経営に計画段階から参加することで、社員のやる気を向上させることができる。
5.自分の能力開発ができる 弊社で実施している社員のモラールサーベイでも、「仕事を通して自分の能力アップをしたい」という意見が90%以上を占める会社が多い。
能力アップができない会社では、退職者が続出している。社内教育・社外教育・海外視察などを通して自己啓発、レベルアップができる会社は、社員のやる気も向上し、魅力ある会社にもなる。

 

(60)業績向上に向けた予算管理体制の構築

予算と実績の差額や達成率を見ることだけが予算管理ではない。
予算の基本的な機能としては、次の3点が挙げられる。

1.計画機能 企業経営全般にわたる経営目標を達成するために、現状を細かく分析し将来の活動や優先順位を決定する。
2.調整機能 計画がバランスよく目標に向かって効果が発揮できるように調和を図る。
3.統制機能 計画に沿って予算が効果的に運用されているか、目標と実績を把握・検討して差異を分析しながら改善措置を行う。

予算と実績との差異がなぜ生じたのかを分析して、今後の改善に結び付けることが大切です。

予算差異分析の手順

各予算項目に対する責任の明確化

予算と実績の比較と差異額の算定

差異の原因分析

今後の見通しと対策の検討

業績向上に向けた予算管理体制を構築

 

(61)経営者・幹部必見『語り継ぐ経営~見える化の勧め』

年商30億円を超え、さらには事業承継が迫っているのであれば、社長の思いを語り継げる価値判断基準の伝承とそのための体系化・落とし込みが欠かせない。

経営執行の判断基準の棚卸し。自社の経営において、外してはならないカン・コツ・ツボ。社会に対する約束。人事憲章とも言うべき社員に対する思い。重点・集中・徹底の判断基準。危機管理のための超えてはいけない喫水線バランス。経営哲学はもとより理念の真の意味と行動基準。

「語り継ぐ経営」の具体的な内容
1.経営戦略の判断基準の棚卸し 2.経営執行の判断基準の棚卸し 3.業務判断フロー 4.自社の強みの分析 5.成長過程・成長要因分析 6.自社の固有技術とそれをぶつける成長マーケットの模索 7.未来指標(社会性・開発力・革新性・基盤安定度・危機回避力) 8.ビジョン体系 9.中期経営計画 10.人事憲章
これがそのまま経営風土改革の礎になる。要は、価値判断基準の「見える化」である。

 

(62)業績革新『"早朝清掃を徹底している"企業の業績は良い』

早朝清掃の徹底により得られる効果
(1)当たり前のことを当たり前にすることの重要性に気付く
企業の業績は毎日の積み重ねであり、一朝一夕にしてできるものではない。毎日の清掃を通じて、「当たり前のことを当たり前にする」ことで会社の業績が作られていることに、全社員が気付くのである。
(2)間違いを早く発見できる習慣が身に付く
清掃を毎日徹底することで「何が正しく、何が間違っているか」という価値判断が統一され、間違いを早く発見できる習慣が身に付く。これは経営トップからすれば、自分の目では見えない問題点が早く発見されるため、経営のスピードが上がることとなる。
(3)愛社精神が高まり「モノ」を粗末にしなくなる
毎日清掃を行うことで、「社有物を壊してはいけない」「会社を汚してはならない」という愛社精神が芽生える。ある特定のモノや場所をきれいにしておくと、人間は不思議とそのモノや場を大切にしたくなるものだ。これはほとんどの人間に共通した心理である。   
(4)一体感づくりができる
全社員でローテーションを組み、会社の隅々まで清掃を行うので、全社員が必ずトイレ清掃を順番に行うことになる。ある特定の人だけがトイレ清掃を行うことはないので、社員の間で不公平感が少なくなり、社内に一体感が生まれる。つまり、全社員で業績に貢献しているという一体感づくりにもつながっていくのである。
(5)朝から足並みを揃えて、気持ち良く仕事に入れる
朝から清掃に集中することで、「きれいになった」という爽快感が全社員に伝わり、足並みを揃えて気持ち良く仕事に入れる。

人間である以上、朝のコンディションの良し悪しはさまざまである。その点を十分にわきまえて、清掃を行いながら足並みを揃え、心体両面のコンディションを整えていくのである。

企業の業績は毎日の積み重ねであり、一朝一夕にしてできるものではない。毎日の清掃を通じて、「当たり前のことを当たり前にする」ことで会社の業績が作られていることに、全社員が気付くのである。

 

(63)経営者・幹部必見『基本動作の重要性を再認識する』

「なぜ基本動作が大切なのか」 「なぜ挨拶や言葉づかい、ビジネスマナーが大切なのか」 「なぜ掃除や2S(整理・整頓)が大切なのか」 ということを真に理解し、実践していこう!

いわゆる基本動作とは、
(1)すべての仕事に共通する基礎
(2)磨き抜かれた基本動作は企業信用を高めるもの
(3)頭で理解するのではなく、習慣として身に付けるもの
(4)永い間の熟練のエキスとして型決めされ、定着したもの
何のためにするのか、という目的がきちんと認識されていないため、何となく形だけまねている
基本動作がなぜ大切なのかというと、「人は1人では生きていけない。生きていくために必要不可欠なもの」であり、「人が他人(=社会)の評価と認知を受けるためのもの」だからではないだろうか。
基本の大切さ、当たり前のことを当たり前にする大切さを再認識し、実践していただきたい。

 

(64)経営者・幹部必見『投資内容を分析せよ』

企業が存続、成長発展するには常に
★今までのやり方を廃止・改善
★新しい構築
を行い環境変化に対応していかねばならない

 

改善や新しい試みをする「投資」の分類
1.業績(事業)拡大投資
本業や新事業を拡大していく投資。生産力を高める設備投資、営業力を高める営業拠点開設、人材補強など成長するために必要な投資。
2.現状維持(メンテナンス)投資
機械が正常通り動くようにする、古くなった車両を買い換えるなど、現状の業績を確保するために必要となる固定資産にかける投資。
3.コストダウン投資
作業性を高める機械導入、使用量を削減する備品購入などムダ・ムリ・ムラをなくすための経費削減・生産性向上に必要な投資。
4.コンプライアンス投資
品質管理システムなどの企業生命線管理、社会的責任を果たすための投資。
5.フレンドシップ投資
本業での収益は生まないが付き合いやしがらみといった社交的な投資。

自社の投資はどの分類に分かれ、成果に結びついているだろうか。
いずれにせよ、かけた投資コストを回収することが基本だ。

★どれだけの利益が年間出るのか
★効率改善により年間で経費をいくら削減できるのか
★いつから利益が出るのか
★シナジー効果はいくらあるのか

以上を考慮し、中長期で計画を立てる。

つまり、投資することにより自社の業績・風土がどう変わるのかを押さえることが重要なのである。

 

(65)業務改善の着眼点『営業部内メタボリックを解消せよ』

メタボリックを解消するには運動し、食生活を変えて行動改善と体質改善が必要である。 営業部隊も同様である。営業コストは大きな固定費だ。営業社員の動きが悪くなると、経費・人件費・在庫・借入金・クレームなどが増え、営業社員の稼ぎだけで固定費をカバーできなくなる。粗利益(または限界利益)に対して、営業に関する固定費比率(体脂肪率)が上がってくる。
したがって営業部隊も行動改善・体質改善を実行し、稼ぎ高を増やして利益を増やすか、固定費を削るしかない。

営業社員が意識しなければならない数字は
  • ★自分の必要稼ぎ高(粗利益または限界利益)を明確にすること。
  • ★「自分の年収+間接部門の人件費+その他経費」を含めて、月にいくら稼がないと赤字になるかを明確にすることだ。
  • ★業績不振を改善して体内脂肪を燃焼させ、筋肉体質(生産性向上)になるためには次の4つのステップが必要である。

1.現状認識
マーケット分析、業績分析、営業マネジメント分析、営業プロセス、行動分析、業務分析、商品分析、売上方程式の策定、営業動向による行動のギャップ分析、顧客分析、ライバル分析と勝敗要因分析
2.勝てる場と新しい勝ちパターンの発見
ボトルネックの解消(営業プロセスのボトル)、売れている営業社員のパターンの整理と共有化、先行管理システム・見える化の導入、ターゲットの選択、営業行動基準の数値化
3.決めたことを着実に実行するための組織体質改善
考え方を統一し、途中であきらめたり、方法を間違ったりしないために全営業社員に対してマネージャー研修、営業社員研修などトレーニングを実施
4.新しい勝ちパターンの実施、新マネジメントによる進捗管理

 

(66)『心技体のバランス』

企業生活における「心技体バランス」の指針
1.心・・・ 目的を明確に持ち、迷いなく邁進できるテーマを設定できているか。人生と仕事の接点、業績向上と個人の幸せ目標のリンケージ。組織としてメンバーが関心を持ち、集中できるビジョン・方針・目標の設計。
2.技・・・ 仕事の基本「ハタラキヤスク・ハタラク」(早く・速く、正しく、楽に、キレイに、安く、そしてハタを楽にする)の体得と、ストレスを溜めない十分なコミュニケーションの促進。そして明るくリラックスして取り組める権限委譲とチームワーク風土づくり。
3.体・・・ 健全な財務力を常に磨き、少々の環境変化にも揺るがない業績基盤、各人の健康増進。組織の若返りや後継経営体制づくり、新しい事業戦略の構築でリスクヘッジ型・予防医学的な経営に取り組む。

 

(67)経営幹部必見『"聞く"スキルを磨く』

ただ単に部下の声に耳を傾けろということではなく、相手の立場に立った"聞く"技術を身につけていただきたい。 以下はある会社で、事業収支計画書を作成したB課長が、直属の上司であるA常務に提出したときの会話である。
  • A常務「君はこの収支計画をどう思う?」
  • B課長「ええ、これでチーム一丸となって頑張っていこうと思います」
  • A常務「いやもちろん頑張ってもらわないと困るんだが・・・どうなんだ?」
  • B課長「ど、どうと申しますと・・・。恐らく大丈夫だと思いますが。」
  • A常務「そういうことを聞いているのではないんだ!しっかりと答えてくれないとこちらとしても承認を出せないよ。全く・・・もう一度見直してくれ。」

何をどう答えて良いかわからない聞き方をしておきながら、B課長が答えに詰まっていることにA常務は苛立ちを隠せないでいる。A常務のように「どうなんだ?」が口ぐせのようになっている人は多い。

相手が答えを絞りにくい曖昧な質問をしていることに気付かないまま、相手に明確な答えを示すように強制している矛盾に気付く必要がある。

別の事例を紹介しよう。ある営業会議での会話である。
  • C部長「この件について、何か意見は?」「誰も発言はないのか?」 「常日頃から、問題意識を高く持てと言ってるじゃないか!」
果たして、参加者の問題意識が本当に低いのであろうか?C部長が活発な意見が出るのを妨げ、誰も口を開けないようにしている可能性はゼロであろうか?さらに腕を組み、しかめっ面をした状態で言われたならどうであろうか?
  • ★ただでさえ上司にはものを言いにくい
  • ★その上、まるで責めるような口調で質問されたら威圧感を感じる
  • ★「私の意見はピントが外れていたらどうしよう」
  • ★「下手に口を開いたら怒鳴られるだけだ。ここは黙って誰かが発言するのを待とう」と、発言に対して消極的な態度になってしまう
  • ★自分の意見がC部長によって採点され、評価されることを恐れる
聞き方しだいでは、あなたのリーダーシップを発揮する上での能力が測られる。部下の姿勢を正す前に自らの"聞く"姿勢を正していただきたい。

 

(68)業績革新のための『振り返り・検討・整理のポイント』

業績革新の着眼点
事業領域 現在の事業領域自体が成長性・収益性を上げられる業界であるのかを検討し、事業領域のシフト・周辺領域への拡大・撤退の判断をする。
マーケット 標的ターゲットは明確か。また、そのターゲッティングの取り方は間違っていないか。自社が提供する付加価値を認め、購買力と成長力のある"ターゲット"とすべき顧客の特性は何かを検討する。
開発 売れる玉があるのか、陳腐化していないか、差別化ポイントはあるか。 商品開発、商材探し、サービス差別化を行い、新たな需要創造のため組織的に取り組んでいるかを検討する。
粗利率 利は元にあり、仕入利益を上げられているか。営業が販売現場で売り負けていないか。付加価値の取れる商品ミックス、商品の重点化が徹底されているか。
ビジネスモデル 構造的に利益が取れるようになっているか。BPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)が必要でないか。ビジネスの全体像を俯瞰して再検討する。
オペレーション 経営資源の生産性が上がるオペレーションになっているか。工程・設備・動作・人材を改善する必要性はないかをチェックする。
外注活用 固定費の変動費化は図れないか。自社養成に時間とコストがかかる技術・工程を外部に任せられないか。外注の有効性を検討する。
管理利益 ミス・ロス・クレームによる工数や費用が発生していないか。
投資効率 経営資源全般への資金投入に対してのリターンを検討する。
ファイナンス 営業外の収益力はどうか。資金調達手法の見直しは必要ないか。資本力を活かして市場占有率を高められないかを検討する。

 

(69)『部下育成のロールプレイング』

ステップ1.
面談の目的を説明する
雑談はかえって緊張や警戒を生む。単刀直入に面談の趣旨について話をすること。
ステップ2.
問題について説明する
事実のみ話をし、自身の判断や感情を加えないようにする。
ステップ3.
話を聞く
  • ○受け入れる:「なるほど」「うんうん」など、目を見て相槌を打つ。
  • ○繰り返す:相手の言葉をそのまま繰り返す。
  • ○言い換える:自分の判断を加えるのではなく、相手の言葉を同じような意味の言葉に置き換える。
  • ○話を引き出す質問をする:「はい」「いいえ」で答えられないような質問をする。
  • ○黙っている:相手が話し終わったあと、すぐこちらから話をしない。黙っていることによって話を続けてくれる。
ステップ4.
問題点について同意を得る
相手が問題について認めない限り話を進めてはいけない。問題点が存在することについて同意が得られるまでステップ2・3を繰り返すこと。
ステップ5.
一緒に解決策を決める
こちらから解決策を一方的に押し付けないこと。一緒に解決策を決めることで2つのメリットがある。
  • (1)自分でできる現実的な方法を考えられる。
  • (2)押し付けの対策より自身で考えた対策のほうが確実に取り組む。
ステップ6.
自分の言葉でまとめさせる
最後に自分の言葉でまとめさせること。いつまでに何をすべきかがわかっているか、この問題に対してどのように思っているかがわかる。

このロールプレイングを機会に、部下との接し方を意識していただきたい。部下に対する発言のうち60%を指示・命令ではなく、褒めることや改善のためのアドバイスにし、その記録を残しておくことをお勧めする。

 

(70)経営者・幹部必見『基本通りが業績につながる!』

基本がなっていなくて赤字に陥っている企業が多い

基本通りに経営を改善した結果、見事に再建を果たした会社がある。
  • ・会議のスタート時間は遅れる
  • ・何のケジメもなく会議が始まる
  • ・会議の議事録は取らない
  • ・出席者は前回の会議で何を決めたかもよくわからずに参加している
  • ・朝礼はダラダラと長い
 

根本原因は社長自身の「危機感のなさ」にあった。


改善策「社長交代」と「経営を基本通りに行う」
  • ・会議は5分前集合。
  • ・ケジメをつけて会議を始め、司会・板書・議事録の役割を分担した。
  • ・会議の議事録を取り、6W3Hを明確にした。
  • ・次の会議の時にはその結果を厳しくチェック。
  • ・工場では5Sを徹底し、各部門の5S評価を毎週行い、不完全な部門を発表して改善を促した。


全社員が一丸となって「基本通りに仕事を行う」ことに取り組んだ結果、ついに1年後には5,000万円の黒字を達成した

全社員で取り組まなければなかなか成果は出ない。要は全社員で真面目「基本通りに仕事をする」ことが重要なのである。

 

(71)業績革新の着眼点『マネジメントサイクルは回っていますか?』

PDCAサイクルが回っていれば仕事は日々進化し、同じ失敗や問題は起こらない。
  • ○計画を立て実行しているが、チェックが出来ていない。
  • ○チェックまでは出来ているが、アクションが出来ていない⇒PDCAサイクルは回らない!
CA実行のポイント
結果を重視するということである。結果の前では言い訳は無用であり、厳しく現実を直視することから始まる。
次に原因分析
「なぜ」を繰り返すことによって本質に迫る。
本質に迫るためのポイント
プロセスを数値で押えることである。3点程度に原因を絞り込み、対策は誰が、何を、いつまでに実行するのかを具体的に決める。

マネジメントサイクル

 

仕事は失敗や改善の連続である。問題が起きることが悪いのではなく、改善しないことが悪いという意識付けを全社員にしていただきたい。チェックする前と同じような対策であれば、同じ問題が繰り返し発生することは明白である。

 

(72)組織活性化『協働を通じて、仕事の質を転換する』

★決められたことを間違いなく行なう仕事から、知恵を出し合い創造する仕事、つまり人間の「心」が大きく仕事に左右するようになってきている。

~このような現代では、組織での「協働」が重要となっている。~

★協働のもたらす効果が人間の「心」に火をつける、モチベーションの向上をもたらすことになるからだ。

協働による3つの効果
お互い足りないものを補い合う
「補完効果」
補完しあう中で、お互いに刺激が生まれ、新たな発見から組織としての活性度が高まる「相乗効果」へ結びつく。
「相乗効果」 協働を通じて、仕事の質が転換され組織が活性化される。
「成長効果」 活性度の高い組織は、自己を成長させる機会を与えてくれる組織としての価値を持ち、その組織に帰属することは成長の実感と予感を抱かせる。

組織活性度を高める施策「サンキュー&チェンジ・メッセージ」

自分以外のメンバーへの感謝や変化・成長をメッセージとして本人にフィードバックするものである。
  • ・感謝される=周囲・組織への貢献が承認された"と捉え、当然モチベーションが高まる。
  • ・成長した点がフィードバックされることで成長点を意識するので、モチベーションアップヘ効果絶大である。
  • ・さらには"自己の変化を認めてくれている"という気持ちは、本来人間の高次の欲求充足であるといわれ効果も予想以上に大きい。

 

(73)『組織経営と合議制の違い』

現在は動乱の時代に入っており、経営者1人だけの構想・実行力では経営は厳しく、さらなる組織経営化が必要であると言われている。

組織化を進めたい企業の多く
失敗

「合議制」

会社の方向性や方針・やるべきことを皆で決めることである。それ自体は悪いことではないのだろうが、私の知る限り結果としては、判断スピードの減退、過度な仕組み化(文章・会議の増加)、それに伴う実行力の低下ならびに時代対応スピードの低下を招く。
成功

「組織化」

責任を明確にした上で、複数の意思決定者を作り、衆知を結集しながらも決済範囲の中で、各責任者の責任において方向性を明示することである。

企業の業績を向上させることは、還元すればいかに実行力を上げるかに集約される。実行のための組織化であることを明確に意識し、合議制の愚に陥らないよう重々注意されたい。

 

(74)経営者・幹部必見『日系企業から学ぶ製造現場』

上海にある日系企業2社の製造現場の現地法人の代表者が口をそろえて言うには。

・個人主義的色合いが強く、日本におけるQCサークルやOJTは機能しにくい
・判断・決断を下せない役職者は蔑視される

日本の製造現場が学ぶべきポイント
(1)現場教育とチームワークこそ、国内製造業の強み
製造に携わる社員個々が行なう作業のレベルや力量・スキルには、さほど大きな差はないと思う。ただ、技能習熟にかかるスピードや、組織レベルの改善は国内製造業のほうが優れているという印象を受けた。この優位性がなくなれば、中国の人件費上昇が進むとはいえ、製造業が国内にしがみつく理由はますますなくなってしまう。
また組織レベルの改善は、国内の中堅製造業といえども、幹部自身に問題意識・改善意識がなければ、チームワークも発揮のしようがない。是非、この点を心にとどめていただきたい。
(2)わからないことを決めるのが判断力・決断力
日本には自分に委ねられた判断を、上司に投げて責任回避する傾向がある。前述したように2人の総経理は、その点を違いとして指摘された。背景には国民性の違いに加え、「報告・連絡・相談」に対する重要度の違いもあるのではないかと推察する。

幹部としてあるべき姿
問題意識・改善意識を高め、現状認識力・情報収集力を養い、製造現場をより活気あるものにする。

 

(75)『組織の活性化は「報・連・相」』

★職場内トップと幹部、上司と部下の不信感など、トラブルの原因のほと んどが「報・連・相」であり、これが常態となると不信から不満となる。不満が充満すると組織は崩壊する。そこで今一度「報・連・相」の基本と本質を考えてみたい。

<基本>
1.仕事の締めくくりであり、次のステップへの始まりである
2.業務の流れを円滑にする潤滑油である
3.作業能力を向上する場である
4.相手の立場と考え方を知り、チームワークを向上する場である
「報・連・相」が徹底しない』真因 ⇒ 基本、必要性を理解できていても本質を理解していない。
本質の第一は、価値判断である。何が大事なことか、トップや上司が何を求めているのか、何を報告しなければならないのか。これらの判断が自分の価値判断基準で行われる。したがって、各人の重要順位が上司やトップの求めるものと異った場合、ミスマッチが起こる。
第二の本質は、トップや上司指揮権の下に入りたくないといった人は「報・連・相」をしたくないものである。上司に対する信頼性がない場合など意識的に報告しない。

★「報・連・相」の徹底のためには、基本の教育と同時に社内の価値判断基準を明確にする。さらにトップと幹部、幹部と部下の信頼性を高める社内風土づくりと教育が課題である。

 

(76)経営者・幹部必見『課題先送りの体質になっていないか』

★"攻めは奇手あり、守りに王道あり"という言葉からもわかるとおり、不況期こそ原理原則に立ち返る時である。ぜひ自社の経営を振り返っていただきたい。

1.粗利益(限界利益)が低い→取扱商品に問題がないか?
2.粗利益は高いが営業利益が低い→マネジメント・生産性に問題がないか?
3.損益分岐点は高くないか?固定費は?自社のコスト構造を明確にしているか?

★等々、自社のコスト構造とそれを基にした経営指標の構築が必要である。 打つ手が遅れると業績回復が遅れる。不況期に考えていただきたいのは業種、規模、生産性の3点である。これらの点を踏まえて、自社の進むべき方向性をまとめていただきたい。
○規模に合わせた組織体制になっているか。
○粗利益に 占める労働分配率の見直しをしていただきたい。

 

(77)次代を生き抜く着眼点『大混迷時代を勝ち抜くための要件とは』

何も手を打たない巣篭もり戦法で好況の機会を待っているだけでは、現状打破はできそうもないということである。大混迷時代を勝ち抜くための要件として2点を取り上げてみる。

1.将来を見据えた先手先行経営:ビジョン(将来像)の明確化・共有化
『他人と過去は変えられない、しかし自分と未来は変えられる』我々が真にマネジメントすべきは、過ぎ去った過去よりも、変えられ得る多くの選択肢をもつ将来である。

『刻々と変化する環境動向のもと自社の将来姿を明確に描き、理想と現実のギャップを先手先行で課題化し、他社に先駆けて手を打っていく』そのような先手先行経営こそが、今のグローバルハイスピード社会においてとるべき経営姿勢である。
2.仕組みで運営する組織経営:経営組織(人と仕組み)の基盤確立
これからは価値観も含めて多くのことが絶え間なく変化する時代であり、それだけにトップ・経営陣は常に高い視点での戦略経営が求められる。従って、戦略経営の遂行に邁進できるよう、管理すべきことを仕組み化し、全員がそのルールを守り、トップ・経営陣は適時、要所だけを押さえていく、そのような組織経営への転換が欠かせない。

次代を生き抜く着眼点

目指すべき先が常にはっきりしている "ビジョン経営"
それを着実に推し進めていく"計画経営"
さらにその進捗を多くの目で追っていく "組織経営"

 

(78)経営幹部必見『当事者意識を持つこと』

評論家であれば、その結果に対する責任というものはない。しかし、経営幹部は現場で結果を出すことが仕事であるので、いくら評論がうまくても仕方がない。すでに起こった事象に対して得意気に「あれがいけなかった」「何故そんなことをしたのか」と言うのであれば、そうならないように予め手を打っておくことが当然、経営幹部には求められる。
他人事のように本プロジェクトに関わっていた幹部がいた。心の奥底では「実行するのは自分ではないから」と言わんばかりの態度であった。
ところが、総責任者に任命された後取り組み姿勢に変化が表れた。発言の1つひとつにも重みが出てきた。会議中も、計画を実現するためには「誰が」「いつまでに」「何をするべきか」を掘り下げて考えるようになった。つまり"当事者意識"が芽生えたのである。

何事にも常に"当事者意識"を持って取り組めているかどうかを、ぜひ自問自答していただきたい。

 

(79)『強い会社の社員とは』

強い会社(業績の良い会社)の社員に共通している点
○原因自分論である 強い会社の社員は目標が達成できなかったことについて、決して他人や環境のせいにせず、自分自身にその原因を追究して対策を講じている。弱い会社の社員はすぐに他人や環境のせいにしがちである。
○後ろ向きの発言をしない これは会議に出席すればよくわかる。強い会社の社員は後ろ向きの発言がなく、どうしたらできるのかといった前向きな発言が多い。弱い会社の社員は「無理です」「できません」といった後ろ向きな発言が飛び交う。
○数字(業績)に興味を持っている 強い会社の社員は幹部・一般社員までの全員が、直近の会社の業績(売上・利益)をよく知っている。弱い会社の社員は、営業部門の社員ですら前月の売上高を知らない状態である。
○価値判断基準が高い 強い会社の社員は目標に対して100%達成することを常に目指しており、最後まで妥協しない。弱い会社の社員は90%の達成でも「目標は達成していないがよくやった」と妥協しがちである。
○決めたことは必ず守る 強い会社の社員は、自分で決めたことや会議で決まったことについて、その期限や行動を必ず遵守する。弱い会社の社員は期限を守らず、誰かに言われるまで行動しない。
○問題に対する処理のスピードが速い 強い会社の社員は気づき能力が高く、小さな問題の段階で処理する。弱い会社の社員は問題が大きくなるまで放っておき、誰かが処理するだろうといった考えがある。
○陰口を言わない 強い会社の社員は意見や提案があれば、会議や面談の際に意見具申をする。弱い会社の社員は何も言わず、陰でマイナス発言をする組織破壊者が多い。

強い会社の社員は意見や提案があれば、会議や面談の際に意見具申をする。弱い会社の社員は何も言わず、陰でマイナス発言をする組織破壊者が多い。 経営者・経営幹部のリーダーシップのもと、方針の徹底や社員教育の実施、あるいは上下間のコミュニケーションができているかどうかで差が出てくる。あなたの会社の社員はどちらに当てはまりますか?

 

(80)業績革新の着眼点『粗利益こそ企業の競争力』

★粗利率の高い企業には「考える習慣」が身についており、仕入れ交渉力、商品開発力、販売企画力などを徹底的に磨いている結果が、高粗利につながっているのではないだろうか。 では、中小企業においていかに粗利率を高めていけいばいいのか。

粗利率を高めるポイント

1.価格は自社が決めるという考えを持つ

法律で規制された商品以外は、自社で商品の価格を決めることが出来る。適正価格とは、「顧客が納得して購入してくれる価格」のことであり、安易に「安売り」に走らず、「どれだけ高く売ることが出来るか」ということを真剣に考えることがスタートラインである。「安売り慣れの脳死状態」になっていないか確認していただきたい。

2.粗利が取れる商品を開発(仕入)する

粗利が取れる商品とは、顧客が価格を知らない商品である。そのためには常にアンテナを高く持ち、情報収集することが必要である。 今の時代、顧客が知らない商品を探すのは難しいテーマであるが、掃除機機能とエアコンを組み合わせたパナソニックの「おそうじロボエアコン」のように、「既存技術(商品)」の組み合わせによって新しい商品を生み出すことは十分可能である。

3.提案と情報を付加する

顧客に対して「商品説明が必要な商品」は、その分高く販売することが出来る。化粧品もスーパーやコンビニで売られている商品は安いが、百貨店で美容部員が接客すると高く売れる。ポイントは、買い手より売り手の方が情報を持っていることである。 そういった商品に重点を絞り、自社の社員の提案力と情報力の強化を図りながら、高粗利商品を販売できる人材力を磨くことも必要である。

 

(81)『ミステリーショッパー』

★ミステリーショッパーという手法がある。これは顧客に扮した調査員が店舗でサービスを受け、その結果をレポートとしてまとめるものである。このような調査を利用する外食企業も多い。 ミステリーショッパーは、自社の店舗について顧客視点でチェックを行ってくれ、非常に便利なものだが、今回は自社でできる店舗の現状認識の手法を解説する。

1.商品・接客・清掃 営業時間を時間帯ごとに朝・昼・昼過ぎ・夕方・夜間と分け、経営者自ら店舗を観察し"問題はないか"、"こうしたら良いのではないか"と仮説を立ててみる。これは客席と厨房、店舗の外と全てで行ってみる。
また来店されている顧客へ声をかけ、この項目について"良いところは何か""不便はないか"など聞いて回るのである。そして各項目についての発見をまとめていく。
2.スタッフ 社員・アルバイトリーダー・アルバイトについて、人間関係や指示事項、動きについて観察する。また在籍人数や、曜日・時間帯別に適性人員がいるのか、早期退職者や異常退職者がいないか確認する。トレーニングや退職防止活動、個人評価がきちんと行われているかもチェックし、従業員満足度を確認する必要がある。
3.売上動向 曜日・時間帯別の売上分析はもちろん、競合の状況や、CSアンケートとの比較、商品別の売上も検証する。
4.利益分析 財務会計上の人件費・原価についての分析だけでは利益分析とは言いがたい。原価率は棚卸原価と標準(理論)原価の差を算出し、廃棄もどのような理由で何がどれくらい廃棄になったのかを確認する必要がある。

これらの項目を、幹部が一日かけて調べ上げ問題点を整理することで解決策が見えてくる。店舗チェックを外部に委託するのも良いが、自ら店舗を見る能力を高めていかなければならない。

 

(82)『商品貢献度分析によるコスト圧縮』

★主要メーカーは消費不振に対応して、以下のように重点商品に開発と生産販売を集中しコスト圧縮を進めようとしている。

<重点商品の判断>

(1)商品の4区分(商品回転率=売上高÷平均在庫高)

①高粗利益率・高商品回転率...かせぎ筋商品:利益を支える重点商品
②低粗利益率・高商品回転率...売れ筋商品:品切れに注意する
③高粗利益率・低商品回転率...もうけ筋商品:利益の大きい商品
④低粗利益率・低商品回転率...不利な商品:切捨てを検討する

不況期の重点商品の優先順位は、①→②→③(④は廃止)である。②と③で、売れ筋商品を優先するのは、不況期にはできるだけ在庫を少なくするオペレーションが重要だからである。

(2)交差比率・貢献比率

重点商品を数字で判断する手法が、交差比率(粗利益率×商品回転率)・貢献比率(交差比率×売上高構成比)の算出である。交差比率・貢献比率の高い商品が重点商品である。
 
<在庫圧縮によるコスト削減>

(1)在庫圧縮目標の設定と貢献度基準での削減

①圧縮目標の設定...過去3年の在庫高推移→月別・商品別在庫目標の設定
②商品貢献ABC分析...商品貢献度分析→ランク別の商品管理方針の確定

(2)在庫圧縮の効果

①保管料・保険料・倉荷料・運搬費の削減
②在庫金利(支払利息)の削減(※)
③長期在庫・不良在庫処分費の削減
④管理人件費の削減

※商品在庫は、販売代金を回収しなければキャッシュにならないため、仕入から回収までの間に立替払いが発生する。これを運転資金といい、銀行借入で対応するケースが多いため、在庫が多いと在庫金利負担が大きくなる。

コスト圧縮といっても、さまざまな手法がある。商品貢献度分析という着眼でのコスト圧縮に、これらの手法を参考にしていただきたい。

 

(83)経営者・幹部必見『中期経営計画を策定する意味』

1."わが社がどこに向かって進むのか"という道標となる
社員は目先のことだけでなく、会社の将来を見据えながら自分の人生を考える。今後、どっちへ行くのかもわからない会社では、大事な人生を送る上で不安である。社外的には例を挙げると、企業にしっかりとした明確な中期経営計画があることで、金融機関に安心感を与えることができる。
2.経営の舵取り(方向修正)ができる
現状と5年後の計画数値とのギャップが、企業が中期的に取り組むべき戦略的ギャップである。中期的な方向性の下、段階的に単年度ごとの計画があり、それと現実との差がわかるからこそ企業が基準(あるべき姿)へと戻ることができるのである。
3.環境変化により計画が大幅に変わる場合、修正・見直しを図ることができる
どのような経営環境になってもしっかりと利益を出すことのできる計画を立てておくことが必要である。また、どのコースにおいても1年目、2年目と数字に乖離が出てくることもあり、その際には毎年の実績を加味し、修正可能なものにしておくことも必要である。

中期経営計画とは、具体的な経営の羅針盤としての機能を果すものであり、健全な経営を行っていく上で大事なツールなのである。

 

(84)業績革新の着眼点『収益モデルを徹底していますか?』

企業における収益性の第一指標は総資本経常利益率(経常利益÷総資本)
この総資本経常利益率を分解すると、総資本経常利益率=売上高経常利益率{経常利益÷売上高)×総資本回転率(売上高÷総資本)
つまるところ、企業の収益性は利益率と回転率の掛け算なのである。

自社の収益モデルの勝ちパターンが「高利益率型」なのか「高回転率型」なのかを明確にした上で、その儲け方を徹底して追求していくことが高収益への近道です。

 

(85)経営者・幹部必見『リーダーのスキルアップ』

創業者であるA氏のトップダウン経営で飛躍的に成長を遂げた。A氏は亡くなる直前、B氏を次期代表者に指名した。カリスマ創業者の背中を見て育ったB氏から聞いたのが、「人間万事塞 翁が馬(この世の全ての幸福や不幸は変転し予測できないことのたとえ)」 という言葉である。

リーダーは、ありとあらゆる場面でさまざまな危機に直面する。そのような状況になれば「もうだめだ・・・」と思い、マイナス発想になりそうなものだ。しかし、今起きている災いも長い目で見れば、良いのか悪いのかは分からないのである。
B氏は常に前向き・プラス思考で、リーダーとしての魅力にあふれているが、カリスマ創業者のマネはできないと言う。しかしB氏は1年中仕事のことを考え、「何をするか(どのような事業展開をするか)」もさることながら、「だれがやるか」と「人」にこだわっている。

そのため採用にこだわりを持ち、優秀な人材を採用しようと、志望者に対して自社の将来的なビジョン(会社がどこを目指して走っているのか)や求める人材像を語りかけている。

さまざまな新しい事業分野に挑戦し続けるB氏に学ぶべきポイントは次の3点にある。

・リーダーとして常に前向き・プラス思考
・リーダーとは常に問題意識を持って、最も考えている存在
・リーダーの使命は、今の社員より優秀な人材を採用すること

B氏のリーダー論は一例であり、人それぞれに違ったリーダー論を持っているであろう。しかし共通して言えることは、

どの世界でも"一流"と言われる人は「常に勝ち続けるため」に今を賭けており、個人のビジョンが確立されているからこそ、逆境から逃げないブレない強さを持っているということだ。

経営者・経営幹部はリーダーとしての強さを備え、「感性」「バランス」「人間力」を磨き、スキルアップを目指していただきたい。

 

(86)業務改善の着眼点『執務基本の徹底』

事務職が身につけるべき"執務の基本"

1.デスクワーク ○仕事の優先順位を「お客様・上司・自分の仕事」の順で決める。
○不必要な書類は分類し、すぐに処理する習慣をつける。
2.情報連絡 ○受けた情報は、口頭の時も必ずメモする習慣をつける。
○情報を連絡すべき先と、内容、重要度、タイミングなどを考え手段を選ぶ。
3.書類への認印
  • ○書類には必ず日付と認印があり、ないものは書類とはいえない。認印を押印することは目を通した書類に対する「責任の所在」を明らかにすることであり、正確な執務をする上で必ず必要となる。
  • ○不明な点がある場合は押印せず、その内容を確認する。
4.ビジネス文書の修得 ○できる限り簡潔に書き、内容は原則として1文書1件。
5.社内文書の取り扱い
  • ○配布物には、各人がわざわざ開ける必要のないようにパンチ穴を開けておく。つまり相手の立場に立った姿勢をとる。
  • ○ホチキスは、左(または右)の上角の一個所に省略する。
6.メモの書き方・使い方
  • ○上司への伺いなど口頭だけではなく、要点を簡明にメモしたものをもって通知すること。
  • ○用件の確認、備忘、経過および措置を明確にし、後日の参考にするためのものである。 ○閲覧または処理を終えれば、作成者に返却する。 ○返事、所見、措置などその結果を朱記することにより、作成者に対して行き届いた処置となる。

 

(87)『人的生産性を高める事例』

不況に対して、生き残りをかけて、各社(中小・中堅企業において)対応を進めている。コストダウン推進のためには、スピードと実行力が必要である。今回は、生産性の改善を実施している実行事例を以下に紹介する。

A社は、生産性を調整するために、人員数・日数・時間(残業のカット含む)の3つの要素から受注高の落込みをカバーし、生産性を維持している。

理論上ではあるが、これまで残業2時間のところを残業ゼロで運営した場合、稼働時間は80%に抑えた状態になる。さらに、人員数を80名にすると総労働時間を80%に抑えた状態になり、総労働時間が最終的に64%の状態となる。
A社では、現在週休3日での運営をしているため、結果として受注高が40%ダウンする前より生産性が向上した状態となっている。人的生産性を高める改善は、社員の意識に起因する部分が最も大きく、改善するためには難易度が高い項目でもある。

一般的に、人は仕事量で時間が決まるのではなく、持ち時間に仕事量をあわせる特性がある。例えば、80%の仕事量でも100%実施するための時間がかかるし、120%の仕事量でも100%の時間で仕事をこなすことも可能である。生産性を上げるためには、120%の仕事量を与えるのが最も早い手法である。

受注高が減少した今、ムダに時間を費やすのではなく、思い切って工場(ライン)を停止させる施策も必要ではないだろうか。最近では、週休3日などにより助成金を申請し、対応する企業も増えている。一度、現在のわが社の人的生産性がどういった状態になっているか算出し、対応を検討いただきたい。

 

(88)『経営理念の見直しと明確化』

経営理念の明確な会社は強く成長している。そこで今回は"経営理念の本質"について探求したい。

企業は何らかの仕事をしている集団である。それでは原点に戻って"仕事の本質"とは何かを考えてみたい

経済活動が高度化し、発展する中で、カネがあると何でも手に入る時代になると「仕事はカネを稼ぐもの」と錯覚されるようになった。現在、仕事をそのように捉えている人も少なくはない。
しかし"仕事の本質"はあくまで「人の役に立つこと」「人の役に立つモノを作ること」である。
経営理念は"企業の本質"を踏まえて「自社の存在価値は何か。何をもって社会に貢献するか」を明確にすることであり、自社の経営方針・戦略より優先すべきことである。

関東にある中小企業のメーカーA社は、経営理念を「重量物を明確に計る」ことにして事業展開をしていたが、ライバルと競合する中で業績は厳しく苦戦していた。創業者から事業承継をした二代目経営者は、経営理念 を見直して「健康を正確に計る」とした。A社は従来の体重計に機能を付加し「体脂肪計」の開発に成功した。 このA社は、"企業の本質"である「人の役に立つモノを作る」を追求し、経営理念を変更、明確にして新しい商品づくりに成功したのである。

経営理念は経営の原点である。頻繁に変更するものではないが、環境が激変する中で見直しをすることも必要である。

 

(89)トップセールスへの道『目標達成する考え方と行動』

目標達成できない営業マンがいる一方、同じ条件で目標達成している営業もいる。彼らは、単に運良く達成しているのではない。タイプは違えど、自分なりの考え方や行動基準を持ち、人間関係をうまく築いている。その一部を紹介する。

○目標管理の考え方・行動基準

1.年間訪問件数(過去の訪問件数、平均受注粗利高を分析)

<例>

昨年目標:¥50,000/昨年訪問件数:10件

1件あたりの平均粗利¥5,000

今期目標:¥100,000/今期訪問件数:20件

まずは王道で訪問件数を増やす。物理的に無理と判断した場合、営業のレベルアップ、もしくは1件当たりの粗利額アップという選択をする。

2.B(ベース)、N(ニューベース)、S(スポット)という切り口で、どこでどれだけ稼ぎ、そのために何をするのかの作戦を練る。

B:どの顧客でどれくらい受注できるか
N:何を、どれだけやらなくてはいけないか
S:何件、いくらの見込みを出すか

3.その他(ライバルに差をつける)

スピード対応、痒い所に手が届く対応など基本的なことではあるが、顧客が「ライバル会社より心地良い対応だ」と思っていただくことが大切である。
○人間関係

仕事でいうところの人間関係とは、信頼を得て常に情報を開示してくれ、優先的に注文をもらえるような関係を築きあげている状態である。

1.会話力

普段から広く話題を収集しておかなければならない。こちらからビジネスに限定せずいろいろな話題をまき、反応の良い話で広げ、相手のガードを下げる。

2.企画提案

「本当に御社のことを考えています」という点が見える提案。見せ方はパフォーマンスのひとつでもある。「ここまでやってくれた」というものであれば信用を築ける。また、足りない部分はそれを叩き台にして情報を得る。

3.その他(ライバルに差をつける)

スピード対応、痒い所に手が届く対応など基本的なことではるが、顧客が「ライバル会社より心地良い対応だ」と思っていただくことが大切である。

 

(90)『経営組織形態(機能別組織と事業別組織)』

機能(職能)別組織,社長,生産,営業,経理,人事,事務
会社規模が小さい中では、権限を経営トップに集中し、強いリーダーシップと統率を発揮できるというメリットがある。

しかし規模が大きくなったり、職場が地理的に拡散した場合、経営トップが直接業務を把握できなくなる。すると現場との間にコミュニケーションギャップが生じ、正確・迅速な意思決定やその実行が困難になり、本来、機能別組織形態が持つメリット自体がデメリットになってしまう。

このような機能別組織の限界を打破しようと、次に生まれてくる組織形態が事業別組織である。

事業別組織,社長,A事業所,B事業所,C事業所

経営トップが持っている権限を各事業部のトップへ大幅に移譲し、各事業部があたかもひとつの会社を運営しているかのようにする。事業編成の基準としては、製品別、顧客別、地域別で部門化するのが一般的である。

組織形態に正解はないといっていい。それぞれの形態を自社に当てはめた場合に発生しうるメリットとデメリットを予測し、次の手を打っていただきたい。

 

(91)経営者・幹部必見『理念実践型経営への挑戦』

北関東でスーパーマーケットを展開するA社のB社長は、創業した父親の突然の死により十分な事業承継期間を経ることなく、経営トップの座についた。それまでのA社は経営理念もなく、方針も曖昧なまま、創業社長のリーダーシップによって経営されてきた。2代目であるB社長は、その属人的経営から脱皮し、真の組織経営へと進化させなければ、自社の成長と未来はないと確信していた。

そこでB社長は、自ら創案した経営理念とクレドを全社員に浸透させ、価値観を共有するため、月2回の研修を実施し、その中で自らの熱い想いをダイレクトに社員に伝え続けている。B社長のコミュニケーション能力の高さと研修の継続により、社員は徐々に変化し、自主的に経営理念とクレドを実践する組織へと変革しつつある。

経営方針発表会では、改めて全社員に経営理念とクレドの趣旨・目的、それを創案するに至った背景を説明し、全社基本方針を伝えることにより、一致団結して戦っていく組織体制が固められ、社員の意欲が高揚した。

"経営理念・行動指針は浸透しているか?実践する組織であるか?伝える場があるか?"今一度自社を振り返っていただきだい。

「理念なき行動は凶器であり、行動なき理念は無価値である」(本田宗一郎氏)

 

(92)『即指摘ができる上司』

「即指摘・即実行」が、大部分の中堅・中小企業に欠けているように思われる。仕事上でのルール違反が発生し、上司がそれに気づいたとき、部下に対して即座に注意できるだろうか?

「後ですれば良い」とか、「今はそのタイミングではない」など、先延ばしにすることが多いのではないだろうか。このようなことが蔓延している企業が非常に多い。これでは社内に混乱を招くのは必然である。

「即指摘」ができるようになるにはどうすれば良いのであろうか。
  • ★社内ルールの違反が生じた"瞬間"に注意・指摘することである。遅くとも1時間以内に。
    • ★理由も明確にしたうえで注意・指摘するのである。

 

注意・指摘できない上司が多い
上司が弱すぎる。なぜだろうか?部下に嫌われたくない、うまく説明ができない、自分もできていない、などが代表的な理由であろう。

 

どのような状況になろうとルール違反はルール違反なのである。自信を持ってどんどん注意・指摘することである。それに対し、文句を言ったり、行動しなかったり、自分に不利益なことがあったりしたら、それはその会社の仕組み・考え方が悪いのである。そのような会社には自分を信じ、喰らいついて改革していく姿勢が必要である。

ぜひ、悪いことは悪いといえる上司になろうではありませんか!

 

(93)『使えないマニュアル・使わないマニュアル』

マニュアルの存在価値は、『標準化・平準化』のためのひとつのツールである。

使えない、使わないマニュアルは意味を成さない。では、何が良くないのだろうか。

1.視線が高い
マニュアルを使う側の社員の皆さんに伺うと、『わかりにくく、実際の業務とズレを感じる』という声が大半である。換言すれば『マニュアルの視線が高すぎる』のである。
使わせる側に聞いてみると、課長、部長といった幹部社員が作成しているがゆえに、『これ位は書かなくてもわかるだろう』という箇所を、全て端折っている。経験値の低い社員には『これ位』の箇所が生命線である。この部分をのりこえられずに挫折を味わう社員は多い。
2.方針・目標と連動していない
方針・目標は毎年変えているにも関わらず、動きを示唆するマニュアルは連動せず変わらない。 例えば、業務処理の生産性指標や営業の活動基準を変えた時など、それに連動したマニュアルに変えなければ、トップが望む行動にはなかなか結びつかない。それは現場=お客様に近い場所になればなるほどかけ離れてくる。
マニュアル作りも社員教育に威力を発揮する。とくに経験値の低い社員が作成すると業界・商品の勉強にもなり、初心者にも優しい、きめ細かいマニュアルができる。幹部がそれにアドバイスを与えることで、より実践的な指導ができる。

マニュアルを使いこなし、業績を上げ、それを評価され、分配に連動して初めて、社員はその存在価値と威力を認識する。今一度、目次から見直されてはいかがでしょうか。

 

(94)『態度能力を磨く』

企業人においてそれぞれの役割や仕事の成果を高めるために必要な態度能力がある。 主なものを層別にしてポイントを整理すると、次のようになる。

態度能力を磨くポイント

分類 心構え 行動基準
階層別 リーダー ぶれないポリシーを持つ 威風堂々の表情・姿勢・話し方
マネージャー 目標を設定しPDCAを回す メンバーとの積極的なコミュニケーション
ナンバーツー(補佐役) トップの弱点をカバーする トップへの緻密な報・連・相
職種別 営業パーソン 顧客との信頼関係を作る 声・笑顔・マナーと誠実な提案
生産パーソン 品質・コスト・納期を革新する 規律・安全・スピードの体得
開発パーソン 新商品・新サービスを創造する 柔軟なアイデアと独自のこだわり

これらに加えて、業種特性や各社ごとの求める姿を整理することだ。それをマニュアルとして作成し、全社的な基準として浸透をはかる。具体的には教育体系への織り込み、OJTの基準、さらには人事考課制度にもリンクさせることが大切である。

 

(95)企業体質改善の着眼点 『報告できる人、できない人」

★チームワークを高めて仕事をするために必要なのがコミュニケーションであり、正確な上司の判断に欠かせないのが部下からの報告・連絡・相談だ。

「報告」が満足にできていない企業が多い!
原因
まずは「自分で何とかしよう」「上司や周囲を巻き込みたくない」と考え行動する。

 

「お客様第一」や「会社第一」「会社の信用第一」の考えが優先するのではない。残念ながら「自分第一」「自分が一番」なのである。

これが「顧客(他人)のせいにし、自分を正当化する」状態になると、その後のクレーム対処である事実関係の確認、原因の追究や善後策、今後の再発防止策づくりの妨げになる。

解決策

報告・相談の重要性、目的や意義を理解させることだ。

<報告・相談の重要性・目的・意義>
1.業務の流れを円滑にする潤滑油である
会社・部門の共通目標に全ての流れを集約し、総合力を発揮させる神経系統である。
2.仕事の能力を向上させる場である
報告や相談を行うことにより、自分の仕事についてのやり方・考え方が整理され、また相手の考え方・要望を素直に聞くことが、成長につながる。
3.チームワークを学ぶ場である
相手の立場と考え方を知り、その中で自分の役割を考え、全社的な視野に立って自らが果たすべき責任を発見することができる。

自分を変え、リズムを変え、流れを変えるためにも、チーム全員を「報告上手」に生まれ変わらせよう。

 

(96)工場改善のポイント!『5S・ムダ取りによる生産性改善』

多くの工場を見る中で、改善が進まない工場に共通する課題には以下のようなものである。

○5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)が定着できない
○高い目標設定と挑戦(改善)をしていない
○発注(指示)のあった量を作る意識が強く、時間生産性・リードタイムへのこだわりが乏しい
○在庫・仕掛品の削減対策が弱い
○工場と営業の連携が悪く、製販調整機能が弱い

工場管理の基本である5Sとは、何のために行うのか?
最大の目的は"ムダの排除"にある。
なぜ5Sを徹底するとムダ削減が図れるのか?

 

それは付加価値を生まない作業(歩く・探す・運ぶ・作り過ぎる・手直しする・不良を作るなど)を大きく減らすことができるからである。付加価値を生む作業とは、材料そのものに加工をしている瞬間のみであり、それ以外は必要ではあるがム ダな作業と定義できる。

また5Sにおける整頓(3T:定置化・定量化、定表示)を進めると、人の動きのムダ、物の停滞・運搬のムダが見えてくる。このムダを排除するのが改善の極意であり、リードタイム短縮、生産性向上へとつながる。

さまざまな改善委員会を立ち上げている会社があるが、基本である5Sを定着させることを最優先にしたほうが、改善成果がはるかに大きい。

生産現場における改善の基本的な進め方
 1.不用品の移動・処分
 2.道具類の定置化と置場表示
 3.消耗品・材料在庫の定置・定量化と表示
 4.仕掛品・製品在庫の定置・定量化、作業の流れ・物の流れの見える化
 5.汚れの発生源対策
 6.機械設備の点検・メンテナンス計画作成と実行

これらは全て5Sの実行課題であり、実行する中でムダ取り(仕掛品削減・リードタイム短縮)を行っていくのである。工場管理の基本に戻り、5Sの定着を一番の実行課題としていただきたい。

 

(97)『経営者の決断力』

~経営者が意思決定の際に陥る症状とは~

●優柔不断症
経営は意思決定の連続であり、決定は常にリスクを負う。しかし、決めるべきことを決めないことは、会社を潰す結果となる。したがって、優柔不断で意思決定をしない経営者は失格である。
●放し病
戦略や方針が決定されるが、その実行度が評価も見直しもされない決めっ放し病。さらに放置されると方針も仕組みも「自然死」する。
決断力
●決定事項の不実行
経営者が意思決定するが実行されない。決定は実行のスタートであり、実行されないことは組織に問題がある。とくに幹部人材と経営トップに意識のギャップがあり、現場に指示、情報が伝達されない。
●朝令暮改
現代の経営にはスピードが要求され、朝令暮改は意思決定に必要だとも言われるが、マイナスになる場合も多い。経営の意思決定が変われば、現場はそのことにより振り回される。決定事項に信頼感がなくなり、組織の実行力も弱くなる。

一般的な経営マネジメントの意思決定は判断力である。一方、決断とは意思決定する材料不足の中で、企業の存続を左右する大きなリスクをともなう判断、意思決定をすることである。経営者の陥る症状を意識した的確な決断力を養成しよう。

 

(98)『回らないPDCA』

PDCAが回らない要因は大きく分けて2つある。それはプランとチェックの段階に潜んでいる。

プランの段階での要因 「だいたい80%達成した」「ほぼ計画どおりできた」といった表現では、受け取り方はバラバラになる。正しくチェックするためには極力、数値化することが必要だ。達成率をコンマ以下のパーセントで表現できていれば、10人でチェックしても100人でチェックしても結果の認識は同じであるはずだ。
チェックの段階での要因

そもそもチェックの場がないというケースがある。またはチェックの場はあるものの、実際には結果確認のみで、正しいチェックになっていないということもある。

↓対応策

計画に対する差異を認識し、差異を埋めるために「誰が、いつまでに、何をするのか」を決定することが重要である。会議やミーティング、日常の報告・連絡・相談がチェックのための手段である。

組織を率いるリーダーが、計画達成の姿を具体的にイメージでき、部下に示すことができるかどうかが重要なのである。PDCAが回せない真の原因はスタートであるプランに中に潜んでいるのかもしれない。

 


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