(32)『万年赤字から』単月黒字化へ
万年赤字から単月黒字化を果たした紙器メーカーの「復活プロセス」を紹介しよう。
1."合理的脅迫"で人を動かす
あるベテラン社員は毎日外出していたが、「忙しい」と言うばかりでどこへ行っているのか全く分からなかった。そこで社長は彼の1カ月間の訪問件数を、得意先の成長性と自社への貢献度という観点から次のように分析した。
- (1)行かねばならない先(貢献度、成長性が高い)...12件
- (2)あまり行かなくてもいい先(貢献度、成長性は平均並)...57件
- (3)行かなくてもいい先(貢献度、成長性が低い)...23件
そこで社長は行かなくてもいい先より、行くべき得意先や新規見込み先への訪問を優先するよう指示した。理屈では動かないベテラン社員も、分析結果を見て何も言えなくなり指示に従わざるを得なくなった。
2.使うべき金を予算化し、使わせる意識 改革でその気にさせる
"アイデア商品"を多く立ち上げることが必要だと考えた社長は、開発ミーティングを立ち上げて開発フローを型決めし、サンプル商品への投資を月ごとに予算化して、営業部隊へ必ず消化するように大号令を出した。
予算を決められた以上、営業社員は使わねばならない。開発ネタを上げざるを得ない仕組みを作ったわけだ。
予算を決められた以上、営業社員は使わねばならない。開発ネタを上げざるを得ない仕組みを作ったわけだ。
3.営業の素人が営業を変える
責任者を社長とする「新規開拓専任室」を立ち上げ、営業部門から2名、製造部門から1名(新卒1年目)を専任とした。製造部員は営業経験がなく、固定概念が全くなかったために次々と斬新なアイデアを出し、顧客を開拓していった。
このように生産部門の若手部員を新規開拓チームへ異動させるという、従来の非常識を常識とする仕掛けによって顧客数を増やすことに成功した。
このように生産部門の若手部員を新規開拓チームへ異動させるという、従来の非常識を常識とする仕掛けによって顧客数を増やすことに成功した。
人にいかに動いてもらい、どのように動かしていくかが、組織を万年赤字から単月黒字化へと向かわせるポイントとなったのである。