財務ノウハウ(6)

(1)銀行が嫌う業種

銀行が融資審査を行う時に、その企業がどのような事業を行っているかは融資審査において重要なことの一つです。以下の事業を行っている企業は、銀行は嫌って、融資を出すことはなかなかないでしょう。

・風俗
・クラブ・スナック(女性が横について接客するもの)
・MLM(マルチレベルマーケティング)
・貸金業
他にもいろいろありますが、世間的に見て、どうしても偏見で見てしまう事業、といったら分かりやすいでしょう。

また気をつけていただきたいのは、このような事業を、主体で行っていなくても、事業の一つとして行っている企業は、どうしても銀行はマイナスで考えてしまいがちになってしまうことです。

このような事業をどうしても行いたいのであれば、別会社で行い、役員や株主にも念のため、入らない方がよいでしょう。

極端なことをいうと、そのような事業を行っていることは銀行に分からないようにしておくのも、一つの手として考えられなくもありません。

 

(2)メイン銀行、サブ銀行・・・と、どうバランスをとっていくべきか

メイン銀行の定義はあってないようなもので難しいですが、融資金額が一番多い銀行、不動産担保を一番多く入れている銀行、売上入金が一番多い銀行、支払手形を切っている銀行等、総合的に考えてメイン銀行を判断します。
しかし取引が入り組んでいる企業であれば、メイン銀行の判断が難しい場合も多いでしょう。
そもそもメイン銀行が最後は絶対助けてくれるということがなくなった現在、わざわざメイン銀行を決めるのも意味がないような気がします。

融資のメニューの中で、一番ハードルが高いのが当座貸越です。なぜなら当座貸越は融資の極度を決めてそれ以内ならいつでも借りたり返したり自由だから、融資の返済期限が決められている証書貸付や手形貸付よりも銀行にとってはリスクが大きいからです。よほどの優良企業でないかぎり、当座貸越の極度が設定されるためには不動産などの担保を入れる必要があります。(極度額が少ないカードローン型の当座貸越は別ですが。)
そのため、当座貸越の極度を設定している銀行は、メイン銀行と考えやすいです。他は、銀行ごとのトータルでの融資総額の大きさによりますね。
私募債は、まとまった大きい金額の資金調達の手段ですが、都市銀行が中心にやっており、私募債があるという理由だけでメイン銀行であるとは考えにくいです。

また、プロパー融資を行っている銀行はメイン銀行として考えやすいです。
よく、プロパー融資と信用保証協会付融資を受ける銀行を分けている企業を見かけますが、プロパー融資を積極的に行ってくれる銀行にはできるだけ多く、信用保証協会保証付融資を集める方がよいでしょう。信用保証協会保証付融資は銀行にとってリスクが少なく、プロパー融資を行う銀行と信用保証協会保証付融資を行う銀行を分けることはバランスが悪くなってしまうからです。

 

(3)一括返済の融資が返済できない場合どうするか

私の会社にかかってくる資金繰り相談電話の中で、多くあるご相談が、「銀行に6月10日に、手形借入で借りていた1千万円の一括返済の期限がくるが、返済資金がない」というように、一括返済の融資が返済できない、というパターンです。

この場合、どうしたらよいでしょうか。

  • ×良くない方法の一つは、銀行へ融資を返済するために、高金利でマチ金などからお金を引っ張ったり、友人・親戚などからお金を借りたりすることです。

  • ×銀行にお金を返せないより、マチ金や友人・親戚などへお金を返せない方が、やっかいです。マチ金の取立ては銀行よりずっと厳しいし、もしくは友人・親戚との人間関係をこわしてしまうことになってしまうからです。

  • この場合、とるべき方法は、銀行に、本来なら一括返済するものを、分割返済にしてもらうよう交渉することです。
    しかし気をつけなければならないのは、その分割返済額をどうするか、です。

    例えば、1千万円を6ヶ月、毎月160万円ずつ返済すると銀行に簡単に約束してしまうと、それだけ返済して資金繰りがまわるのならよいのですが、そうできるだけの資金繰りではないから、一括返済ができなかったのです。
    会社が存続可能な余裕のある返済額に交渉しましょう!

 

(4)毎月返済500万円→毎月150万円、で払っていけるのか

  • ・銀行から融資を受けたら、その返済は、キャッシュフローで行っていきます。
  • ・キャッシュフローの計算方法ですが、正確に計算するのは大変なので、ざっとしたキャッシュフローを見るために、以下の計算式で簡易的に 計算することができます。

キャッシュフロー=当期利益+減価償却費

■なぜリスケジュールを行っても、資金繰りがまわらない企業が多いのか。


  • ■キャッシュフローを意識してリスケジュール交渉を行っていない。
  • ■現状の会社のキャッシュフローがいくらであり、そのキャッシュフロー内で返済を行うには返済金額をいくらまで抑えるべきか。
    それを意識したリスケジュール交渉を行っていないから、中途半端なリスケジュールを行って、資金繰りがまわらなくなってしまうのです。

 

(5)ハシゴを外される・・・

融資が全く受けられなかったり、受けられても年間で10百万円や20百万円で、50百万円に届かなかったり、と。こういった場合、リスケジュール、つまり返済減額交渉、を行うしかありません。

ただ、なぜこのように、いきなりハシゴを外される、つまりいきなり融資を受けられなくなるのでしょうか。原因は、次のようなものがあります。

  • ・損益で赤字を出した。
  • ・赤字を出して債務超過(貸借対照表の純資産がマイナス)となった。
  • ・黒字であるものの、売上が増えていないのに売掛金や在庫が大きく増え、銀行にとってあやしい動き(粉飾決算?)と見えた。
  • ・前期決算に比べて、売上が増えていない、設備投資も大きくしていないのに借入が大きく増えた。(借入が赤字補てんにまわった?)
  • ・代表者や関係会社への貸付金が大きく増えた。(銀行融資が転貸された?)
  • ・銀行の融資審査がいきなり厳しくなった。
    (最近、三井住友銀行や三菱東京UFJ銀行はビジネスローンの審査を厳しくしています。りそな銀行・みずほ銀行はビジネスローンの取扱いをやめました。信用保証協会保証付融資は、責任共有制度開始で銀行のリスクが増えており、審査が厳しくなっています。)

など、いろいろな理由が考えられます。

~いきなり融資が受けられなくなることを防ぐためには~

■きちんと経営を行う
■余計な節税をせず利益をきちんと上げる
■借入した資金を代表者へ流用しない
■余計な別会社を作って資金を流出させない
■経営者としてあたりまえのことをあたりまえに行う。

そういった経営努力を行わないと、銀行からいきなりハシゴを外されることになります。
まだ融資が受けられているからと、安心しては絶対になりません。

 

(6)ただ担保を差し出すな!

あなたの会社に、担保となっていない不動産がある場合、銀行から、その不動産を担保に入れてほしいという話をされることは多いのではないでしょうか。 しかし、その不動産をやすやすと担保に差し出してはなりません。

あなたの会社と銀行とは、あくまでビジネスの関係、対等な関係です。 担保を入れるなら、その見返りはあるべきです。

その場合、新たな担保を差し出す条件として、新たなプロパー融資を出してくれるなら、としてみてはどうでしょうか。 また融資の金額は、その不動産の時価と同額程度ぐらい、交渉してみるべきです。

ただこの場合、気をつけなければならないのは、その1億円の融資をA銀行は出してくれるにしても、短期の一括返済や、半年・1年分割返済など、短期で完済してしまう条件で融資を受けないことです。

銀行が、短期の一括返済や、半年・1年分割返済の条件で融資を出す、と言っている場合、銀行は、早期に完済させ折り返し融資は出さず、結果、もともとの融資総額2億円の保全を図れた、という状況を目指しています。

また1つの銀行に担保を差し出す際、気をつけなければならないのは、他行の目、です。 メイン銀行であるA銀行に新たな担保を差し出すのなら、まだ説明はつくでしょう。 しかし、例えばC銀行に担保を差し出すと、当然、A・B・D各銀行は、不公平感を抱いてしまい、今後の融資取引に支障が出てしまいます。

新たな担保を差し出すのなら、やはり理由付けは必要です。

 

(7)プライムレートの意味

(Q)
(旧)長期プライムレートと新長期プライムレート、短期プライムレートのそれぞれの意味を教えてください

(A)
・(旧)長期プライムレート
長期信用銀行や信託銀行の、信用度の高い一流企業に対する「長期(1年超)」の「最優遇貸出レート」のことです。
金利は、各行が独自に決めることになるのですが、みずほコーポレート銀行が発行する「みずほコーポレート銀行債券(5年物利付金融債)の表面利率に0.9%上乗せした金利に設定されるのが一般的です。
・新長期プライムレート
「短期プライムレート」に一定水準を上乗せした「レート」で、「短期プライムレート」の変動にともない変動します。これは、短期金利が長期金利を上回ると、短期の調達手段しか持たない都市銀行などの一般銀行が長期の貸出をした場合、調達するコストの方が高くなり、収益を圧迫することになるため、短プラに連動する長期金利新長期プライムレートが設定されました。例えば新長プラは、期間3年以内で短プラ+0.3%というように、各銀行ごとに決められます。
・短期プライムレート
短期プライムレート(短プラ)は、都銀など一般銀行の、信用度の高い一流企業に対する「短期(1年以内)」の「最優遇貸出レート」です。
このレートは、各銀行ごとに、調達コストをベースに金利動向や利益などを勘案し決められています。

 

(8)担保を外したい

(Q)
600坪の工場を移転して高令者用賃貸住宅を建てたいのですが、日本政策金融公庫の担保になっています。
是非ともはずしたいのですがどうすればはずしてもらえますか600坪の土地に住宅金融支援機構から融資を頼みたいのですが、日本政策金融公庫の担保をはずして住宅金融支援機構に担保を付けなければなりません

(A)
日本政策金融公庫に、残りの融資を全額返すことができれば当然よいのですが、それが難しいから相談されていると思います。
その土地を、日本政策金融公庫が担保価値をいくらで評価しているかがカギとなります。その評価額を推定し、金額を決めて日本政策金融公庫に相談します。その金額を支払うから、全額返済はできないが担保は外してほしい、と交渉します。そうすると、日本政策金融公庫も交渉してきて、返済する金額がいくらで妥結できるか、前に進みます。そして日本政策金融公庫と妥結したら、その金額を返済して担保を外してもらいます。
ただこの場合も、その金額は用意しなければならないことになります。ただでは担保を外してもらえません。

 

(9)ベンチャー企業の資金調達

(Q)
ベンチャー企業の間接調達についてご相談は可能ですか?
現状、借り入れは無いのですが開発、広告等で出費がかさみ、ビジネスモデルで日本政策金融公庫に話したところNGでした。
そこで経費を切り下げ今年度中には単月黒目的でチャレンジをしぼっていますが、いざ貸せないとなっては事業継続ができないので早めの措置を考えて行動しています。

(A)
創業してまだ若い会社、売上が少ない会社は、基本的に融資は
 ・信用保証協会保証付融資
 ・日本政策金融公庫
この2つで融資を受けることになります。
これらの機関から融資を受けやすくする方法は、黒字になる事業計画を作ることです。
ビジネスモデルの説明だけでは不足で、メイン資料は、今後3年ぐらいの損益計画(月次計画)で、それに付随してビジネスモデルなど、どのようにその数字を上げていくか、というものにしないと、相手は積極的になってくれません。

 

(10)定期預金を解約できるか?

融資を受けている銀行において、企業としては定期預金は作らないのが原則です。

ただ融資をしている銀行としては、保全の一つ、つまり返済ができなくなった時にすぐに相殺できるように、定期預金を作ってくれ、と言ってきます。
そうやってやむを得ず、定期預金を作ることも多いでしょう。

融資を受けている銀行においての定期預金は、次の2つの形があります。
・担保としてとられている定期預金
  • ■定期預金を担保とするには、質権設定契約書を交わし、定期預金の通帳や証書を銀行に差し出します。
  • ■定期預金は、担保としているのであれば、融資が返済されないかぎり解約することはできません。
・フリー定期預金
  • ■フリー定期預金は担保となっていないため、企業側の意向で、解約することができます。
    しかし、そのような定期預金を解約しようと思って銀行の窓口に行っても、後ろから預金係の役席行員が出てきて、解約したい理由を尋ねられ、解約を引き止められるケースが多いでしょう。
    理由はもちろん、融資先企業が融資返済できなくなった時のための保全を確保しておくためです。
  • ■しかし、フリー定期預金の解約はあくまで、預金者の自由です。フリー定期預金を解約しようとして銀行の引止めに合ったら、一度であきらめず粘り強く交渉して下さい。

いっとき、現金預金が豊富で定期預金を作りたいと思っても、それは融資を受けていない銀行にて行うべきです。いつでも解約しやすいような体制を心がけるべきです。

 

(11)別会社での新規融資

(Q)
先代から業務内容を変更し引き継いだ会社を経営しておりました。
会社ではすでにリスケ状態だったところに私が代表に就任、去年の10月に1800万円あった借金のうち保証協会分1000万円を返済、その後支払いを通常払いに回復し保証協会分残債60万円、政策公庫600万円という状態までもって来ました。
銀行にも政策公庫にも先代(現在故人、義母所有)の不動産が根抵当に入っている状態です。
先代の残した借金の支払いに追われ、新規融資がおりず、会社の経営が好転しない状態を打開するべく、新たな環境で心機一転頑張るために新しい会社を2月に起業しましたが政策公庫から融資を受けられますか?

(A)
信用保証協会保証付融資、日本政策金融公庫からの融資の返済が、リスケジュール状態から脱し、通常の状況に戻っているようですから、リスケジュールの状態がネックになることはなく、この会社でも、新しい会社でも、融資は可能でしょうね。
ただこの場合、信用保証協会や政策公庫での融資制度である創業融資は、使えません。ただ別会社を作っただけであり、創業とは言えないからです。
そのため通常の融資を考えることになるのですが、新会社の業績、それともともとの会社の業績を見られての審査になるでしょうね。

 

(12)民事再生後の資金調達

私たちが、厳しい状況の中小企業経営者からご相談を受ける中で、たまに「民事再生を行えば再生できるんだ。」と考えていらっしゃる経営者がいます。

実際中小企業が民事再生法を使って再生を果たすことは、困難なことが多いです。

  • ■民事再生法申請を行うと、銀行等金融機関や仕入先等取引先に、債務をカットしてもらうことになります。
    そうすると、債務をカットされた金融機関からは今後の借入れが困難、というより不可能になりますし、債務をカットされた取引先からは今後の取引拒否、もしくは取引拒否されなくても、現金支払いを要求されることになります。

そうなると、民事再生法を申請する企業においては、必要なものは「資金」となります。

民事再生法を申請したからといって、資金の不安から一気に開放されるわけではないのです。民事再生法を申請した企業こそ、その後の資金繰りをどう行っていくか、考えていかなければなりません。そこで、次の2つの手が考えられます。


  • ・スポンサーをあらかじめ探しておくか、民事再生法申請を行った後にスポンサー探しに動き、資金を支援してもらう。
スポンサー候補となる企業も、ビジネスでやっているのですから、当然、民事再生を行おうとする企業を傘下におさめることのメリットがないといけません。 民事再生を行おうとする企業が、事業自体は利益が出ていたり、魅力的な顧客を抱えていたり、魅力的な技術力があったりと、メリットがなければ、なかなかスポンサーはつきません。 そのため、民事再生が頭にある経営者は、まずは自社が、外から見て魅力的と言えるかどうか、考えてみなければなりません。
  • ・民事再生法を申請した企業向けの融資を受けられないか検討する。
日本政策金融公庫(旧国民生活金融公庫・中小企業金融公庫等)の「事業再生支援資金」「企業再建・事業承継支援資金」、商工組合中央金庫の「事業再生支援貸付」、信用保証協会の「再建企業向融資」など、政府系金融機関が、民事再生企業向けの融資制度を用意しております。
しかし融資制度があるといっても、現実的に審査が通るのはなかなか困難です。

私たちが、厳しい状況の中小企業経営者にいつも伝えているのは、破産や民事再生などの法的整理を行う前に、再生に向けてやれることはいっぱいある、ということです。

「民事再生」という言葉が一人歩きし、どんな企業でも民事再生法によって再生できるんだ、という誤解を持っている経営者は多いのですが、民事再生の現実をよく考えてみてください。

 

(13)まとめての借換え?

  • ★毎月の返済金額を、借換えによって減額することができます。しかし、借換えを行うにしても同じ銀行内で行うべきです。

例えば、A銀行の1.5億円の借入の明細が(ここではプロパー融資か保証協会保証付融資かは考えないこととします。)
9,000万円 残り返済回数30回 毎月300万円返済
4,000万円 残り返済回数20回 毎月200万円返済
2,000万円 残り返済回数10回 毎月200万円返済
合計、毎月700万を返済しています。

これを、3,000万円上乗せして1.8億円で全部を借換えし、返済回数を60回とすると、毎月返済金額は300万円となり、借換えの効果が出ます。
(この場合、条件変更とみなされ格付が下がる可能性もありますので、そうならないようあらかじめ銀行と話合っておきます。)

このように、借換えは同じ銀行内で行うべきです。なぜなら、借換えにより別の銀行の融資を返済すると、その別の銀行としては、恥になり、おもしろくないからです。
銀行に、企業がケンカを売ることになり、その銀行との関係が悪化します。

また、融資を受ける銀行は、できるだけ多くすることが基本です。
理由は、
 ・1つの銀行が1社に対して融資できる量は、リスク分散の観点から限りがある。
 ・1つの銀行だけだとその銀行が融資を渋った時に打つ手がなくなる。

 

(14)日本政策金融公庫・民間銀行・信用保証協会間の情報のやりとり

(Q)

当方アパレル関係の小売りで開業21年目の個人事業主です。
ただいま地元信用金庫(1社)で4口(1口はプロパー、3口は保証協会付き)と日本政策金融公庫で2口の借入があります。
3年ほど前までは業績もそこそこで両庫とも融資依頼を断られたことが無く、お願いする度に何らかの形で融資を実行してくれましたが、同業の身内(経営は全く別)の倒産もあり、信金はH18年3月を最後に再三の融資依頼にもかかわらず、融資を出してくれなくなりました。

その倒産による保証人債務(約300万)をかぶってしまい、貯蓄や保険を取り崩したり、妻の親に無心をしたり、幸いなことに長年取引のあるメーカーの協力(仕入掛率のダウンや売れ残り品の引き取り、買掛金支払いの延長など)で何とかやってきました。
インターネット販売をH18年より開始し、実店舗での来店客数・売上減少にも関わらす、昨年はトータルで開業以来最高の売上高を出し、融資を断り続けられた信用金庫も2年半ぶりの今年8月に市の小口資金で500万(保証協会付き)を実行してくれました。
しかし、その資金も現在は、返済や買掛金の決済・新たな仕入用運転資金であっという間に底をついてしまいました。
そこで毎月の返済額があまり変わらない日本政策金融公庫で借入(借換え)をしたいのですが・・・・・

H19年度は申告書も以前より改善され、H18年8月の融資分と、あと4ヶ月ほどで返済完了する計2口の融資残の合計もMAX時の半分以下となりました。
ただし、昨年の10月と今年の1月の2回、前回の融資実行から間もないことと、信金を含めた借入残が多いとのことで、融資依頼を断られた経緯があります。
この夏の信金での融資と時期が近いため、その融資を受けたことが日本政策金融公庫でのマイナス材料にならないのかが不安です。
日本政策金融公庫と他の一般銀行や信用保証協会の情報のやりとりはあるのでしょうか?

(A)

日本政策金融公庫(旧国民生活金融公庫・旧中小企業金融公庫など)と、民間の銀行や信用金庫、信用保証協会間では、

日本政策金融公庫―民間の銀行や信用金庫→情報のやりとりなし

日本政策金融公庫―信用保証協会→情報のやりとりなし  

民間の銀行や信用金庫―信用保証協会→オンラインの情報のやりとりはないが、民間の銀行や信用金庫は、信用保証協会に対し、どこの銀行でどれだけの保証を行っているか照会をよく行っているとなります。
信用金庫で融資を受けたことは、直接は日本政策金融公庫では分かりません。

しかし日本政策金融公庫はおそらく御社の銀行通帳等の提出を要求してくるので、それで分かってしまう可能性があります。もしくは日本政策金融公庫に提出する御社の借入一覧や試算表などでも借入事実を知られてしまう可能性があります。
また、御社は手元預金を潤沢にしていく必要があります。あなたは、「借換え」を考えているようですが、新たな融資が受けられ、それと合わせ既存の融資を返済しないですむのなら、それにこしたことはありません。
第一に、手元の預金を増やすことを心がけてください。

 

(15)親族のしがらみ

中小企業の中には、親子・兄弟・親戚など、親族が多く関わっているところも多いかと思います。
親族で固めた経営のメリットは、会社の目標に一丸となりやすいところでしょうか。
ただ、デメリットも多いのが同族経営です。

同族の役員や社員などは、なかなか辞めてもらうことが、できません。
仕事をしっかりやってくれてるとは言えないが、親族であるから、しがらみがあって、会社が危機的状態になっているのに、辞めてもらうこともできない、そのようなケースは多くあります。

対策
  • ◎会社に関わる親族を集めて、親族会議を行うのも手です。
    会社の窮境を打ち明け、どうやって会社の立て直しを図っていくか、経営者だけでなく親族間で問題を共有することにより、親族も協力的になってくれることが期待できます。
    今まで仕事にやる気がなかった親族社員が、やる気を出してくれるかもしれません。
    親族会議では、会社の立て直しのために、経営者以下、体制を固め、一丸となって会社再生に進んでいくことを確認します。
  • ◎このままでは会社が倒れてしまうことを訴え、赤字の黒字化のためには人をスリム化することが必要であることを訴え、協力してもらいます。
    後に遺恨を残さないのは無理がありますが、何も話し合いしないで一方的に辞めてもらうより、じっくり話し合った上での方が、その後すっきりすることでしょう。

注意!
同族企業の経営者の方、やりにくさはよく分かります。しかし、危機的状況だからこそ、会社存続のため、経営者としてのリーダーシップ、それと決断力が求められるのです。

 

(16)旧債振替

■旧債振替という用語は、銀行から融資を受けている会社の経営者でしたら、覚えておきたい用語です。

旧債振替とは
信用保証協会保証付融資(以下保証付融資といいます)で受けた資金を、その銀行の既存の融資の返済にあてること、を言います。

 

新規の保証付融資で既存の保証付融資を返済(つまり借換え)することは、企業・銀行・信用保証協会での事前の打合せの上、よくあるケースなのですが、新規の保証付融資で既存のプロパー融資(ビジネスローンもプロパー融資の一つです。)を返済するのは、後々大きな問題となり、信用保証協会は銀行に代位弁済することを拒否するのです。 なお、同じ銀行のプロパー融資を返済してはだめですが、別の銀行のプロパー融資を返済するのは、旧債振替とはなりません。

【旧債振替の例】

  • ・保証付融資を受け、その資金で分割返済のプロパー融資をまとめて返済した。
  • ・保証付融資を受け、その資金で一括返済のプロパー融資を返済した。
  • ・保証付融資を受け、その資金で、手形割引を以前行って不渡りになり銀行から買い戻し請求されている手形を買い戻した。

【今回の緊急保証制度で保証がおりやすくなった今、心配していることがあります】

  • ・企業にとっては、プロパー融資が保証付融資に置き換わっていくことになり、保証付融資の枠が少なくなり、不利になるのです。銀行は逆に、プロパー融資が保証付融資に置き換わっていくので貸倒れリスクが少なくなり有利になります。
  • ・保証付融資は、プロパー融資より審査が通りやすいので、なるべくプロパー融資を優先させて、保証付融資の枠は後々のためにとっておくのが、銀行つきあいのセオリーです。
  • ・相談にこられる会社にも、旧債振替ギリギリとなっているケースが見受けられます。
    そのような事実があるのであれば、そこを銀行に対する交渉のカードとして企業側が使えるのかもしれません。

 

(17)消費者金融4社より300万円借り入れがあります。保証協会の審査は通りますか?

(A)
信用保証協会は個人信用情報は見ないので(見れる状態にはあるが見ない)個人で消費者金融を借りているということは分からないでしょう。(絶対ではないですが)。
消費者金融のことは気にせず、信用保証協会保証付融資を申し込んでみてはいかがでしょうか。

 

(18)保証協会に代位弁済してもらった場合、借り手側の有利になる事と不利になる事を教えて下さい。

(A)

信用保証協会に代位弁済(代弁)されるとは、信用保証協会保証付融資が、延滞になってリスケジュール交渉を行わずそのままほっておくと、保証協会が企業の代わりに全額返済(代位弁済)して、債権者が銀行から保証協会に移ることを言います。
代位弁済を行うと、有利になることは、リスケジュールの段階に比べ支払いが楽になることです。
リスケジュールの段階では減額した後の元金返済金額に加え、利息は全額支払わなければならないですし、また保証料も、融資残高が残っている分、支払っていくことになります。

一方代位弁済後は、元金と利息を合わせた額をベースに、いくらずつ保証協会に返済していくかを決めるので、支払いは一気に少なくなります。
代位弁済を行うデメリットは、その保証協会での残高が残っているうちは保証協会から新たな保証が受けられないこと、代位弁済した銀行においては今後融資を受けることができないこと、また不動産担保を入れていれば競売に移行することが通常であること、保証人に取り立てがいくこと、となります。そのため、守りたい不動産であればそれを守る対策、また保証人の資産状況を見た上での守り固めを早いうちに行っていく必要があります。

 

(19)信用保証協会保証付融資の流れ

協会付融資の流れのイメージは1.~8.になります。

1.融資を受けたい企業から、協会融資の申込みがなされます。
  • 2.担当行員が借入申込書を作成して、「渉外担当⇒渉外役席⇒融資担当⇒融資役席⇒支店長」と借入申込書が回覧されて支店内決済がなされます。(所要日数イメージは3日程度)
  • 3.支店内決済で本案件の取扱いを認める場合は渉外担当行員が取引先に支店内決済が下りた旨を伝えて、協会の申込用紙に署名捺印をいただきます。
    書類を預かってから金融機関の所見に取引先の取引状況や業況などを記入し、職印(銀行の支店長印)を押印して協会に書類を送付します。(所要日数イメージ3日程度)
  • 4.協会に書類が届き保証課の担当者が審査に入ります。事前審査として申込人の協会利用残高・既保証返済状況を確認します。仮に、今回の申込金額+既保証残高の合計が保証限度額超過の場合や直近1年間において月超え延滞が定期的に発生したり、保証申し込み時点で延滞がある場合は保証限度額内での再申込みや延滞解消をしない限り審査はしてくれません。
    次は申込み案件の本審査に入りますが、申込金額が企業規模に合っているのか、お金の使い道の妥当性があるのか、直近の決算状況・決算から3ヶ月を超えている場合は試算表を精査して申込人の返済可能性を判断します。また、許認可対象業種の場合は許認可取得の有無や有効期限を必ず確認します。
    以上の内容を総合的に判断して問題ないと判断した場合は上司の保証課長に申請を上げて決裁がなされます。 (所要日数イメージは一概には言えませんが、2~3週間程度が一般的と言われております。)
5.保証決定のお知らせについては原則、申込銀行に保証書を送付します。(所要日数イメージは3~5日程度)
  • 6.保証書が申込銀行に到着してから融資係が銀行本部に融資の稟議書を作成します。(所要日数イメージは3日程度)
7.本部の審査部が稟議書の審査をします。(所要日数イメージは2日程度)
8.本部稟議が可になって融資実行になります。(所要日数イメージは2日程度)

この一連の流れを見ていただいても分かるように、協会をからませた融資の場合は通常のプロパー融資と比較しても3.~5.の部分の工程が必要になりますので、2~3週間程度の時間が余分にかかってしまいます。

このように融資実行までにどうしても時間を必要としてしまう協会付融資ですが、4.の時間を短くする方法がないわけではありません。


■信用保証協会に行ってみよう
  • ・まずは保証協会に定期的に訪問するように心掛けて下さい。
  • ・銀行員は融資先企業のことを全て理解している訳ではありません。
  • ・その中で銀行員が、融資先企業のポイントを協会に上手く伝えることができなくて、保証協会から保証が得られなかったことをよく聞きます。
  • ・ですからこのようなことがないように、年に1回は決算書ができ上がった段階で、必ず訪問をするように心掛けて下さい。

定期的に保証協会に訪問して、自社の内容を直に伝えておき融資申込みをしていれば、協会の担当者も濃い情報収集ができるようになりますので、審査スピードが速くなる場合があるのです。

(Q)
私は東京都内で内装工事業を営んでおります。
年商は1億6千万円程度で、現在借入れ残高として信金に1,900万円と日本政策金融公庫に300万円程があります。
返済は何とかこなしてきましたが 取引先の倒産や赤字物件の工事や未払い金が増え、下請け業者への支払いの遅れが出てきました。
そんな中、税務署から5年前の申告漏れを指摘され 重加算税を含め700万円程度納めろと言ってきました。
納付計画書も作成しましたが、毎月の納付金額が少なすぎると、受付けてくれません。
銀行から借入れて納めようと思いがんばってますが税金の未納部分で信用保証協会からOKの返事が取れません。

(A)
税金の未納があれば、信用保証協会の融資審査に引っかかってしまいます。
この場合、700万円をどこかから調達して税金の未納部分をなくし、保証付融資を借りる、しかありません。
もしくは税務署との交渉においては、月30~40万円程度は、納付金額がほしいところですし、それを認めさせるにも経営計画により税務署を納得させられる納付計画書にしたいところです。
それにしても、年商1億6千万円ですから、借入総額は5,6千万円ぐらいあっても普通です。それが現在、2,200万円しかない、一方でいろいろな方面で未払いがある、ということは、あなたの会社の資金繰り対策がうまくなされていない、ということが想像されます。 借入はもっと可能であったにも関わらず、起こすべき借入れをせず、そして資金繰りが厳しい。
ここは、財務管理体制の整備を考えるべきだと思います。
今回の件をきっかけに、今一度、自社の財務管理体制を見直してみてください

 

・大都市に進出している地方銀行をねらう

地方銀行の東京支店、大阪支店など、大都市に進出している支店は、その銀行で融資量を稼ぐ役割を担っている支店、という位置づけである場合が多いです。

例えば四国地方の銀行は、大阪に支店を多く出しています。
なぜなら、地元の四国では融資を出すところが少なく、大阪に出ていって大阪の企業で一定の売上規模の企業に融資を出すことにより、融資量を稼いでいます。
融資量が大きくなると、利息収入が多くなります。つまり融資量を稼ぐことによって、銀行の一番の収益源、利息収入を稼ぐことができるのです。

例えば、愛媛県の銀行の大阪支店があるとします。

・愛媛県に工場がある大阪本社の会社
・社長が愛媛県出身である大阪本社の会社
・愛媛県の会社と大きな取引のある大阪本社の会社

などが、その愛媛県の銀行の大阪支店と取引しやすいのです。

あなたの会社が東京・大阪など、大都市にあるのであれば、このようなつながりを考えて、地方銀行で進出してきている支店との取引をねらってもよいでしょう。

その支店としても、地元とつながりのある企業であれば、そうでない企業より、取引開始の言い分を、本部に伝えやすいのです。

 

・返済の延滞をするとどうなる?

銀行から融資を受けている中小企業の経営者であれば、誰でも不安に思うことは、融資の返済を延滞するとどうなるか?ということではないでしょうか。
これをお話するに、まずみなさんに、知っておいていただきたい用語があります。

それは期限の利益
期限の利益とは、例えば3,000万円の融資を5年(60か月)分割返済の条件で受けるとします。
返済の側面から見てみると、この融資を受けても、1日後すぐに全部返済しなさい、ということにはならないですよね。
60か月、月に割って50万円ずつ、返済してもらえばよいですよ、ということになります。
これを、債務者から見て1か月ごとの各期限(=約定返済日)まで銀行は返済を待ってくれて、すぐに全部返せ、とは言ってこないということなので、期限の利益、とよびます。

 

返済を1日でも延滞すれば、「金銭消費貸借契約書」には期限の利益を喪失する、と書いてあります。ということは、残り全部の金額をすぐに支払いなさい、ということになります。それができなければ、競売、差押え、など次の手がうたれる、ということになります。

しかし実務上は、1日延滞しただけで銀行がすぐに手をうってくることはまずないです。

  • ①また延滞して、ケースバイケースですが3か月程度ほったらかしにしておくと、銀行から催告書といって、融資の返済を促す通知を送ってきます。
  • ②また信用保証協会保証付融資においては、原則90日延滞すれば、一定の冷却期間をおいたうえで銀行は信用保証協会に代位弁済を請求することが可能となります。早いと延滞後6か月程度で代位弁済されます。そうなるとその後は企業と信用保証協会との交渉となります。
  • ③ただ、そのような状態になっても、銀行と交渉してリスケジュール、つまり毎月の返済金額を減額する交渉を行って同意をもらえば、延滞状況が解消され、銀行の同意を得た返済金額の減額状況となり、銀行は矛先を収めてくれます。

必要なのは、何よりも銀行と向き合うことです!

銀行に、なぜ業況が悪くなって返済できなくなったのか、今後どうやって改善を行って利益体質を作って返済を再開できるようにするのか、それを書面で分かるようにして説明し、リスケジュールの応諾をもらえるように交渉します。

 

・社会保険の分割納付交渉

(Q)
弊社は数年前に社会保険を滞納しておりました。
いろいろと催促をされまして、今は毎月銀行引き落としになっておりますので、毎月きちんと納めております。
また滞納分も毎月10万円ずつ返済しており、残り500万円弱になっております。(当時は1,000万円弱ありました)
この滞納に、遅延金が発生しておりまして、現在800万円程になっております。
金利も14%程と非常に高く 払う気にもなりませんし、払える額でもありません返済計画書を提出するようにと、書類が届きました。
やはり支払わなければならないのでしょうか?なんとか安くすることはできないのでしょうか?

(A)
社会保険料の遅延金を安くすることはできません。
少しずつでも、払っていかざるをえません。
どのように分割するか(弊社の事例では20回以上分割にできたこともあります)、返済計画書、それとそれを補完する事業計画書と資金繰り表も資料として作成し、年金事務所に相談してください。

 

・代表者への貸付金

(Q)
資本金5,000万円・年商2億円の株式会社です。
銀行借入以外に、個人的な知り合いや、ノンバンク等からも多額の借入をしています。
しかし、決算書に記載すべき内容ではないと考え、代表者勘定で処理をしています。
しかし、返済時、利息が高額になり、代表者に対する貸付が多く残った形になります。
銀行融資に際し、代表者勘定の内容を問われた際に、上記の理由を説明すれば、納得するものでしょうか。
また、代表者への貸付は、どの程度の金額までなら決算書上、マイナスに作用せずに済むでしょうか。
代表者への貸付を清算するためには、代表者から現金を入れてもらうほかにどのような方法がありますでしょうか

(A)
知人やノンバンクから借入があり、その利息負担を会社でもった場合、代表者に対しての貸付金が多く発生していることでしょう。
このような理由を銀行に説明はしないでください。代表者が知人やノンバンクから多くの借入が多くあることが分かってしまい、銀行の目が厳しくなるだけです。
また代表者への貸付金の程度ですが、少ないに越したことはありません。
代表者への貸付金は不良資産として見られるのが普通なので、その貸付金を純資産から減らしてみてその結果純資産がマイナスとなれば、実質債務超過と見られるので、融資審査において大きな不利となります。
代表者への貸付金を清算するには、「貸付金清算プラン」といった、生命保険を使った方法を使うことが多いです。

 

・私募債について

私募債のメリット
  • ・償還が一括償還もしくは6カ月ごとなどの条件のため、資金繰りが楽になる。
  • ・私募債が受けられる企業は財務内容が一定の条件を満たしている企業であり、信用力のある企業という証明になる。
  • ・資金調達手段の一つである社債のノウハウを得られる。
デメリット ・償還時にまとまった金額が必要となるため、その準備をしておかなければならず、それができなければ融資での調達を考えなければならないが、その時に融資が受けられない場合はどうするかを考えなければならない。(これは通常の融資を受けた場合にも言えますが・・・)

融資の場合は、返済が困難となった場合リスケジュールという手段がありますが、社債ではそれがなく、デフォルト、つまり債務不履行ということになっていきます。 これらメリット・デメリットを考え、どうしても私募債を導入したいのかどうかを考えてください。

 

・経理財務担当者の憂鬱

弊社にご相談いただく方の1割は経理財務部門の方(残り9割は経営者の方です)ですが、 そのような方々からご相談をいただいていて、いつも思うのは、

経理財務部門の方がいくら、自分の会社をなんとかしようと動いても、経営者が動かなければ、何も変わっていかない。

本当なら社長が危機感を感じて、なんとかしよう、と動いていかなければならないのに、社長よりも経理財務部門の方が危機感を感じ、動いている中小企業が多く見られます。

【しかし、経理財務部門の方はいかんせん、決裁権がありません。社長が決断してくれなければ、何も動いていきません。】

コンサルタントの私たちでも、一番難しいのは「人の考え方を変えること」です。社長の考え方が「自社をなんとかせねば」というように変わらなければ、何も動いていきません。
では、社長がいつ、そのような意識を持つか

今月の支払いが足りないなど、本当に最大の危機状態に陥った時にしか変わらないことが多いです。

経理財務部門から社長に忠告がある時は、最大の危機に陥ってしまう前にすぐに対策をうつべき時なんです。

 

・親戚・知人からのお金の借り方

なぜ、親戚・知人にお金を貸してほしいと頼んでも、断られてしまうのか。
お金を貸してほしいと言われる方の立場から見ると、分かるでしょう。
お金を貸してほしいと言われたら、まず考えるのは、「本当に返ってくるのか?」です。

では、親戚・知人が最後の頼みの綱で、お金を貸してほしいと頼む際に、貸してくれやすい頼み方、貸してくれにくい頼み方、を考えていきます。

貸してくれにくい頼み方
ただ単に「お金を貸してください。」と言うことです。 「どうやってお金を作るか、何も具体策がないじゃないか。本当に返ってくるのか?」と疑問に思うのが普通でしょう。

 

貸してくれやすい頼み方
次の資料を用意します。
  • ・自分の会社をどうやって立て直していくのかを書いた経営改善計画書。そこにはむこう3年ぐらいの月次損益計画と月次資金繰り表を入れる。
  • ・その資金繰り表をもとに、親戚・知人から借りたお金をどうやって返していくかを書いた返済計画。
  • ・借用書
    お金を貸してほしいと頼まれた親戚・知人としては、返済計画があり、またその根拠が経営改善計画や資金繰り表で分かりますので、貸したお金が返ってくることの不安が少なくなります。
    また借用書を交わし、どうやって返していくかをその借用書の中で書いておくことによって、貸した方としてはお金が返ってくることに確信を持てます。

 

このようなものを用意してお金を借りに行くのとそうでなくお金を借りにいくのとでは、相手の受ける印象は大きく違うでしょう。 大金を借りようとするのですから、借りるための準備はしっかりするべきです。

親戚・知人からお金を借りるのは、最後の手段です。

  • ×決して、赤字を補てんするために使ってはなりません。
    銀行へ返済するために使ってはなりません。
    赤字補てんや銀行返済のために使うと、またすぐに、「お金が足りなくなった。どこか借りることないか。」ということになってしまいます。

○会社立て直しのために大事に使うようにしてください。

 

・融資を希望金額どおりに出させる方法

■私たちが多く受ける相談の一つに、
 「融資は受けられたが、希望金額より少ない金額になってしまった。」というものがあります。

ここで、銀行員の心理を考えてみます。
  • ◎銀行の審査において、融資が出る金額というのは、これだけは絶対に出る、というものはありません。
    なんとなくこれだけ出る、というものです。結構、感覚で決めるところが大きいのです。
  • ◎また、企業から言われた融資希望金額より少ない金額で審査を通すと、後に万が一貸し倒れとなった場合、上から審査の適切さを問われても、「今回は貸し倒れとなったが、審査はしっかり行った。」
    という言い訳がしやすくなります。貸し倒れの事態も想定して、希望金額より少なくして審査を通した、という言い訳がしやすくなります。
では企業としては、どうしていけばよいでしょうか。

単純に、経営者が本当に希望する金額より多めの金額を、融資希望金額として銀行に伝えることです。

2,000万円を融資してほしいのなら、そのまま2,000万円を融資希望金額として伝えると、減額して1,500万円や1,000万円にされやすいです。
それであったら、希望金額を3,000万円で伝えてみます。
そうすると、減額されて、実際に経営者が希望する金額ぐらいは出る可能性が高くなります。
このような話を聞いて、経営者としては、なんて単純なんだ、と思うのかもしれません。
しかし実際には、結構効果があるのがこの方法です。

 

・売掛金がひっかかった時

■事業を行ってくると、つきものの問題が、売掛金が回収できない、という問題です。

売掛先が事業を継続している状況で、入金期日に入金がなかったら、その入金があるまでは、その売掛先への販売をストップしたり、もしくは下請けをストップさせたりして、これ以上の売掛金未回収をおこさないようにする対策が考えられます。

しかし現実問題、自社内の、その売掛先への売上ウェートが高かったりすると、なかなか簡単に割り切れないものでしょう。そして売掛金をどんどんふくらませて、結局売掛先が倒産してしまったら、大きな金額を引っ掛かってしまうことになります。

このようなケースにそなえ、やはり売上先を分散させることは必要です。特定の1社や2社への売上ウェートが高かったら、その企業が倒れたら自社も共倒れとなります。そういう事態を防ぐために、売上先の分散は、リスクを抑える上で重要な対策です。

では、売掛先が倒れ、実際に売掛金が引っ掛かってしまったら、どうしたらよいでしょうか。

この場合に、銀行に運転資金の融資を申し込みますが、いつも運転資金の融資を申し込むときみたいに、わざわざ売掛金が引っ掛かったことを銀行に言わず、融資を申し込む方がよいです。

ただ銀行に売掛金の引っ掛かりを気付かれないようにするのは、その銀行からまだ融資が受けられている状況の場合であり、リスケジュールを行っていたりしてその銀行からいっさいの融資が受けられていないのであれば、リスケジュールの継続など銀行の協力をもらうために、あえて売掛金が引っ掛かった事実を企業側から伝えた方がよかったりします。

  • ■ちなみに、売掛金が引っ掛かった場合への備えとして、中小企業総合事業団の、経営セーフティ共済というものもありますので、備えとしてかけておくことも考えておいた方がよいでしょう。

経営セーフティ共済→ http://www.smrj.go.jp/tkyosai/index.html

 

・商業手形割引の金利

(Q)

商業手形割引の金利について。割引金利の基準は短期プライムレートでどの銀行も行われているようですが、短プラ以下になることは可能なのでしょうか?

短プラベースの理由としては、支払期日が異なるので銀行側の資金調達の効率が悪いため、短プラが限度である、と説明を受けました。大手の会社には短プラ、マイナス何%など適用しているのでしょうか?

(A)

割引金利が短プラ以下になることは可能です。しかし、それでも都市銀行の一番低い短プラが限度です。短プラは銀行によってちがいますが、例えばあなたの会社の取引銀行の短プラが1.875%で、都市銀行の一番低い短プラが1.625%であれば、短プラ以下の金利と言っても1.625%が限度です。

短プラ以下の金利が適用されるのは大手というよりも、財務内容の良い会社です。そのような会社には割引の取引を増やそうと、各銀行が金利で競うからです。

 

・担保がついている不動産を売却したい

(Q)

会社(父が社長、私は役員)の経営がこのご時世でご多分に漏れず苦しい状況にあります。経営資金確保の為に会社の不動産の売却を考えていますが、もちろん担保になってます。銀行との協議によって売却が出来る場合、第一・第二抵当権を持つ銀行と信組両方と話をしなければならないと思いますが、どういう交渉をすれば良いのでしょうか?

資産の評価額は1億5千万前後。第一抵当権を持つ銀行の負債が3千万位。第二抵当権を持つ信組はまだ2億以上残っています。この様な状況の場合、もし売った場合でも自社で使えるお金は残らないのでしょうか?

(A)

まず買い希望者を探し、買い希望者に「買付申込書」といって、「私はこの不動産を○○円で買いたいです。」というようなことを書いた書面を作ってもらいます。それをもとに、担保をつけている金融機関と交渉していきます。

まず第一順位抵当権がある金融機関に話をします。そこで、売却してそれを一部返済にあててくれれば担保を外してもかまわないよ、という感触が得られたら、後順位の抵当権設定の金融機関にも話をしていきます。

抵当権を設定されている状態であっても、不動産の「売却自体」は可能ですが、抵当権が設定されている物件に買い手はいないでしょう。売却代金での返済配分案を抵当権を設定している各金融機関に説明し、全て抵当権を外してもらうことに同意を得られたら、やっと売却の実務に入っていくことができます。

しかし、あなたの会社の場合は、売却代金を経営資金に使いたいということです。しかし銀行は、信用のある会社でなければ、抵当権が設定されている金額分、物件売却代金は全て融資返済にあてさせるのが通常です。銀行が、売却代金の一部を経営資金に使ってもよいと言ってくれれば良いのですが、その交渉はなかなか難しいところです。

 

・「保証人」の性質

■銀行融資において、重要なポイントの一つが、「保証人」です。

代表者である保証人に求めるものは しっかり経営して返済を行い、返済ができなくなったら責任をとってほしい、ということです。
代表者でない保証人に求めるものは 保全、つまり企業が返済できなくなったら、変わりに返済してほしい、というところです。

  • ■代表者でない保証人として、例えば
    ・不動産を持っている人
    ・サラリーマンで、勤めている企業が安定しており、勤続年数が3年以上である人など、細かい条件が求められることもあります。
  • ■企業が返済できなくなった局面において、銀行にとって担保は確実な回収手段ですが、保証人はそうではありません。だから、銀行融資において、保証人は気休めにつける程度、のものでしかありません。

  • ■また、保証人について、よくあるのが、銀行が後日、追加で「保証人を新たに入れてほしい」と要求してくる場合です。

代表的なのが、リスケジュール、つまり返済金額の減額の交渉時に、保証人を要求される場合です。
この場合、銀行の要求はつっぱねるしかありません。
「保証人を探しているがなかなか引き受けてくれない。」
などの理由をつけて、要求は受け入れないようにします。リスケジュール時において保証人をつけると、その保証人に最終的に迷惑をかける可能性は、当然高くなります。迷惑をかけてはいけません。

 

・新規の銀行があなたの会社にとびこんでくるようになる方法

新しい銀行から融資を受けたい場合、はじめは銀行の方からあなたの会社にアプローチしてくるようにしなければなりません。

銀行の方から、あなたの会社にアプローチしてくるように「仕掛け」を行いましょう。

それは、帝○データバンクのような企業調査会社の資料です。
銀行には、本部に営業支援の部署があります。
営業支援の部署から、3か月に1回や半年に1回、支店のテリトリー内にある企業のリストが、企業調査会社のデータから抽出され、配布されるのです。 例えば帝○データで、評点が50点以上の企業はそこそこの企業、55点以上の企業は優良な企業という見方をします。
銀行員の新規融資先の開拓の仕方は、このように企業調査会社のデータを見て、という場合が多いです。

■ということは、次の2つが、多くの銀行があなたの会社に新規融資先の見込み客としてとびこんでくる仕掛けとなります。

1.企業調査会社に、あなたの会社の企業情報が掲載されること。
2.企業調査会社のデータで、あなたの会社の評点が高くなること。

 

・根抵当権極度額は減額できるか?

(Q)
担保の書き換えなどはできますか?
たとえば、借入当初に不動産を担保としました。返済が順調に進み残高が当初借入額の半分になったとします。あきらかに不動産担保物件のほうが価値があるとします。この場合、担保の再設定などのようなことは可能でしょうか?

(A)
根抵当権極度額の減額ということで可能です。ただし、その際にかかる費用は負担しなければなりません。ただ、そのような申し入れをしても、銀行から、根抵当権の減額は待ってほしいと言われることは多いです。今後、再び融資を実行したときにその時の根抵当権の極度額が大きければ、融資にともない極度額を再び増額することがなく、手続きが楽だからです。
もし将来、その銀行から融資を再び受けたいということであれば、根抵当権極度額はそのままにしておくのも一つの考え方です。

 


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